以前、

演技の基礎を

指導していた頃に

気づいたこと

について話します。

 

それは、

「演技」が、

時には

人を成長させる

ということです。

 

 

映画や舞台で、

実際に

ありえそうな話の場合、

ーつまり、不条理ではなく、

現実的にありそうな設定

という意味ですー

役者は、

自身に近いキャラクターだったり、

自身とは真逆のキャラクター

を演じたりします。

 

 

そして、

それらのキャラクターを

リアルに演じることによって、

作品に厚みをもたせています。

 

ですから、

キャラクターが、

作品の中で

生き生きとして見えたなら、

それは

演出もそうですが、

演じている役者の腕がなければ

成立しないわけです。

 

 

だからこそ

プロの役者だ

といえるんですね。

 

とは言え、

自分とは

真逆のキャラクターなんて、

どうやって演じるのか

と疑問に思いませんか?

 

 

実は、

アメリカのベテラン

「アル・パチーノ」

という俳優さんが、

映画「ゴッドファーザーpartⅡ」

で演じたマイケル・コルレオーネ

というキャラクターを演じたときが、

まさにそれだったんです。

 

自分とは

真逆のキャラクター

だったらしく、

相当つらかったそうで、

撮影が終わっても、

しばらく役が抜けなくて

苦しくて、

師であるリー・ストラスバーグ

のスタジオに

相談にいった程だったそうです。

 

 

 

で、なにが言いたいかというと、

結果的に

アル・パチーノが

人間的に成長したのかどうか

は分かりませんが、

少なくとも、

自分とは考え方が違うキャラクター

を自分に引き寄せるのではなく、

できるだけ理解する努力

をすることによって、

キャラクターに近づくことは

できるのだということなんです。

 

そして、そうすることで、

別の視点が生まれ、

自分の視点以外の視点

を学ぶことが

できるようになります。

 

 

役者自身の主観

から離れるということです。

 

 

 

昔、若い頃に、

友人のひとりに

「客観的に」

という表現をしたら、

彼は

「客観的と言っても、

あくまでもお前の視点なんだから、

結局は主観だろう」

と言われたことがあります。

 

その時は

何と返したのかは

覚えていませんが、

できるだけ

自分の視点から離れる努力

をすることで

「客観的な視点」

というものは可能となります。

 

 

完全に

別の人の体に入らなければ

客観的と言わないのなら、

そもそも

「客観的」

という言葉自体がありえません。

 

そういう意味では、

その友人の言ったことは、

すでに論理が破綻していたわけです。

 

 

でも、

そういう理屈をいう人種は、

現在もいます。

 

 

誰とは言いませんが、

表面的には

非常に論理的に聞こえるけど、

よくよく聞いていると、

そもそも

「前提」が崩れている話

をしているなんてことがあります。

 

論〇王なんて呼ばれている人とか・・・。

 

 

 

 

すみません、話を戻します。

 

要するに、

様々なキャラクター

を演じることで、

いろんな価値観を

理解することができるということは、

それだけ多くの人を

深く理解することが

可能となるわけです。

 

 

ですから、

決して

自分の視点だけを通して

見えている世界が

すべてではないのだ

ということは

知っておいた方がいいと思うのです。

 

 

 

「頭でっかち」

になっている人は、

柔軟になる努力

をした方が

いいのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

と言っても、

それをしない人を

「頭でっかち」

と言うんですよね・・・。

 

 

 

 

 

こまったこまった。