image




 作家の百田尚樹氏は、木原官房副長官夫人の前夫不審死事件について週刊文春の記事をベースに何本か動画をアップしているが、7月7日の動画は大胆な推理で事件の核心に迫っていて最も面白かった。私も週刊文春7/13、20号と続けて記事を読んでみて百田氏が語っている内容以外にも幾つか素朴な疑問を感じたので挙げておきたい。

 平成18(2006)年4月10日午前3時過ぎ、息子の不審死の第一発見者となった父親は警察から、息子が亡くなった時、息子の妻が「二階の奥の寝室」にいて「『私が寝ている間に、隣の部屋で夫が死んでいました』と供述した」と聞かされている。天井に「血飛沫」が飛び、「血の海」に横たわるほどの死に方をした夫の異変に気付かず寝ていたなどということがあり得るだろうか。余りにも不自然だ。

 亡くなった安田種雄氏とその妻が親しかったY氏の供述も奇妙だ。Y氏は、種雄氏の妻から「『刃物を(夫に)握らされたので切ってしまった』と告白された」と供述している。だが、種雄氏の実際の傷は「頭上から喉元に向かって」「肺近く」まで刺されたものであって、「切った」という表現とは合致しない。

 仮に自殺ではなく、誰かがナイフを種雄氏に振り下ろしたとしても、身長180cmを超える長身の種雄氏の「頭上から喉元に向かって」ナイフを差し込み、肺近くまで到達させるには、加害者の側にもある程度の腕力や上背が必要ではなかろうか。身長163cm程度の妻に果たしてそうした行為は可能だろうか。

 Y氏の供述によると、種雄氏の妻X子(現木原夫人)から「殺しちゃった」と電話で告白されてから、種雄氏宅に駆けつけたことになっているが、本当だろうか。種雄氏が生きている間にY氏が現場に駆け付けた可能性はないのか。Y氏の車がNシステムで捕捉された時刻と種雄氏の死亡推定時刻の関係は以上の可能性を排除するのか否か。

 木原誠二官房副長官は、週刊文春を刑事告訴するそうだが、仮に名誉毀損に該当する部分があるとしたら、Y氏の「X子から『殺しちゃった』と電話があった」以降の供述ぐらいだと思える。だが、これはY氏の「証言」であり、無論、文春側も事実と断定していない。Y氏の供述を事実と思い込むのは相当そそっかしい読者だけであろう。

 総じて、週刊文春7/13、20号の記事の内容は黒澤明監督の初期の傑作を彷彿とさせるのである。



 昨日7月17日、ニコニコ生放送の百田尚樹チャンネルの会員限定有料部分の動画で、"猫組長"こと菅原潮氏が語った内容で、私は、木原官房副長官夫人の前夫安田種雄氏の死因が自殺ではなく、他殺であると確信した。警察は、平成18(2006)年当時の初動捜査の段階で初歩的なミスを犯していた。そのミスは一人の政治家の運命をも変えてしまうほどの決定的なものであった。木原官房副長官が捜査員に漏らしたとされる嘆きの言葉「どうして、そのときに…」については誠に尤もという他ない。