グラント、待ってた材料が手に入りましたので
製作再開であります!
進捗状況は後ほど~。

と、その前にM3中戦車と一口に言っても色んなバリエーションがあります。
簡単ですが、ちょっと簡単に紹介をば。
形式「M3中戦車」は大別すると型式は6種類に分かれます。
M3から始まって、A1~A5までの6型式です。
まずは型式番号(制式番号)M3。

一般的(どこの?)に「M3中戦車」と聞いて思い出すのが、このタイプでしょう。
リベット止めされた背の高い車体にオフセットされた小さい砲塔。
エンジンは航空機用の星型ガソリン・エンジン。
頭でっかちの砲塔を載せたイギリス軍向け仕様のグラントは、全車これがベースになってます。
写真は生産初期の車両ですが、生産時期によって細かなマイナー・チェンジが施されています。
アメリカ軍の戦車!(まぁ、そうなんですが・・・)としてのイメージが強いのですが、真実は奇なりなんですね。
その意味は生産数と使用国。
「M3リー」は3923輌、「M3グラント」は1001輌が生産されてます。
グラントは全車イギリス向けなので除外して、問題はリーの方。
3923輌のうち、イギリスへ1652輌、ソビエトへ1386輌がレンドリースによって供給されたので、
実際にアメリカ陸軍で使用されたのは、たったの885輌!
まだアメリカが参戦する前の戦車なので、優先的に連合国各国への支援に回した結果ですね。
そのお陰で、アメリカが参戦した北アフリカのチュニジア戦ぐらいしか活躍の場はありませんでした。
それが映画「サハラ戦車隊」のモデルになった訳です。
プラモ各社の「M3中戦車」は、それぞれに実車との違いを多かれ少なかれ抱えてますが、全てこのタイプを
ベースとして製品化してます。
型式番号M3A1。

M3のリベット止め車体じゃあ、装甲が弱いし、リベットが飛散してヤダよ!との軍指摘から
ほんじゃ、鋳物にすんべ!
って事でできた戦車。
車体上部が鋳造式になった他はM3と同一仕様の戦車です。
その関係はM4シャーマンとM4A1シャーマンの仕様の違い方と同質です。
しかし、やはり鋳造車体は量産が難しく、300輌で生産終了し、全車アメリカ国内での訓練に使用されました。
内28輌が実験的に作られたディーゼル・エンジンを載せてました。
型式番号M3A2。

M3のリベット止め車体を溶接式に変更した型式です。
その他はM3と同仕様。
ここまでは中身は一緒だけど、ぶっちゃけ見た目が違うだけって言う区別ですね~。(まぁ!乱暴な。w)
当時は溶接技術が発達していなかったのと生産ラインの関係で、なんと!たった12輌作ってギブアップ!
次のA3へ移行します。
型式番号M3A3。

これまでの星型ガソリン・エンジンの供給不足が予想された為に、新たに2ストロークのディーゼルエンジンを
載せたタイプです。
外見上の相違は後部のエンジン・パネルのレイアウトとリア・パネルに集中してます。
車体はA2と同じく溶接構造となっていますが、やはり生産数は多くなくて322輌で、うち126輌が
連合国各国へレンドリースされてます。
ちなみに、タミヤの「M3リー」は排気管を含めたリア・パネルの構成のみがA3仕様になっています。
型式番号M3A5。

あれ?A4は?って思われたかと思いますが、話の流れでA5がA3の次になった次第です。

A5はA3の車体構造をオリジナルのリベット式車体に戻した車両です。
A3とA5の相違点はそれだけです。
写真の車両は中期~後期生産と思われ、車体サイドのハッチが溶接され、また上部にベンチレーターが
増設されています。(砲塔前にある丸いヤツ)
アングルの関係で見えませんが、砲塔上部(キューポラの向こう側)と車体上面ハッチの後ろ側にも
同じベンチレーターがあります。
このベンチレーター増設は他の型式でも実施されています。
A5の生産数は591輌とA3より多く、208輌が連合国各国へ送られました。
タミヤのキットで一番手軽に改造出来る型式ですね。
型式番号M3A4。

これまでのエンジンの生産・供給が追い付かなくなって、またまた新たなエンジンが必要になりました。
そこでクライスラーのバス用エンジンを改修して出来たガソリン・エンジンを載せたのがA4です。
エンジンが大きくなってしまったため、車体後部が延長されて全長が長くなり少々不格好に。w
ボギー・サスペンションの配置が広くなっているのが一目で分かりますね。
このエンジン、のちにシャーマンにも使われて同じくA4(M4A4)を名乗ります。
偶然にしちゃ出来過ぎの様な気がしますねぇ。
生産数は109輌のみで、その理由は工場がM4A4シャーマンの生産に移行した為です。
さて、各型のリア・ショット。
違いをご覧あれ。

これはM3の最後期かと思われ、写真はアバディーンの「なんちゃって」グラントの物。
排気ノズルは上方中央に設置されていて、両脇の箱型エア・クリーナーを含めた位置関係はM4シャーマンと
同じになってます。(参考:M4A1は樽型エア・クリーナー)
この仕様での生産車体は数が少ないと思われます。
初期型ではエアクリーナーが装着されてなく、アイドラー・ホイール基部の上あたりから煙突状排気管が
装着されてます。
中期以降はエアクリーナーが装着され、写真と同様の排気管が初期型と同じ場所から下向きに付いてます。
A1、A2も同じ流れですが、A2は生産時期からして本写真のレイアウトと同じかもしれません。

M4A4のリア。
排気管がパネルから直に付き出ていますね。
また、テールライトの取り付け方も面白いです。
エンジン・パネル上のレイアウトはM4A4シャーマンに酷似しています。

M3A3とA5のリア。
写真はA5ですが、A3はこれからリベットを脳内消去すればよろし。ww
ただし一つだけ注意です。
中央のメッシュが付いた点検ハッチ、なぜか前後逆に付いてます。

メッシュ部分が後ろになるのが正解です。
実車でも、こんな事があるんですねぇ。
なお、リア・パネルには砂塵捲き上げ防止用の排気ディフレクターが付いてます。
最後は武装のバリエーション。
これは型式によって異なるのではなく、生産時期や生産工場によっての違いになる要因が大きいです。
「リー」「グラント」の標準主装備は75mm砲M2、及び37mm砲M6。
その他のバージョンとして75mm砲M3。
これ。

後にM4シャーマンの主砲としても使われた75mm砲で、40口径なので砲身が長いく、一目で判りますね。
ちなみにグラントで40口径を搭載した車両は見た事無いです。
また中期以降の75mm砲M2には先端にカウンターウエイトを装着した物が見られます。

これは砲架に俯仰スタビライザーが装着された75mm砲になります。
砲身先端にウエイトを付けないと、砲架のバランスが悪くなってスタビライザーが機能しなくなる為の処置。
長砲身の40口径では砲身が長い分、ウエイトが不要なので見た目でスタビの有無は判りません。
また、37mm砲にもスタビライザーは導入され、砲身の下にカウンターウエイトが付いている(上記写真で
37mm砲身の下に見える棒)ので直ぐに判別できます。
この37mm砲M6も生産初期には数が足らずに、一つ前のM5が使われました。
M5は砲身は150mm短いのですが、写真だと区別が難しいです。
ただし、1/35にすると4.2mmほどの寸法になりますので、モデルで加工してみるのも手かもしれません。
なお、各砲へのスタビライザー導入時期には若干のズレがあるので、車両によってはどちらか片方にのみ
付いているケースがある事を確認してます。
さてさて、今回はウンチクばかり並べちゃいました。
こんな事やってると、肝心の模型が先に進みませんね。
作業に戻りま~す。

ではでは。
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