久しぶりに最近のフィリピン経済の話を。
上のグラフは過去2年間のフィリピン株価指数(iPSE)の推移表である。
私がちょっと目を離しているうちに、フィリピンの株価が一本調子で上昇している。
リーマンショックに端を発する世界金融不況のあと低迷していたが、昨年3月を底に力強く成長している。
あたかも、ギリシャ危機まで好材料にしているようにすら見える。
ちょっと気になったので、関係する経済指標を調べてみた。
インフレ率は1-7月で+4.2%。
外国為替相場は堅調で、この1年で9.1%のペソ高・ドル安。
外貨準備高は前年同期より21%増加。比中央銀行の分析によれば、世界経済の回復に伴う海外比人就労者(OFW)からの送金と、海外からのポートフォリオ見直しによる投資増が要因。
長期金利は続落。
金利低下で、預金生活者には厳しい。
フィリピンでもっとも確実、なおかつ高利回りな商品として以前紹介したドル建てフィリピン国債(ROP)も価格が上昇。
1年ほど前までにROPを1千万円購入すれば、1年間で日本の国民年金満額受給と同額かそれ以上の金利を受け取ることが出来たが、最近は価格高騰で実質金利は3%近くまで下落している。
バブルの前兆を感じる。
回復していた米国、EU経済に陰りが出てきたので、世界の余剰資金がアジア市場に向かっているらしい。
為替レートの関係からいっても、従来からのオイルマネーではなく、中国マネーの存在が不気味である。
今後の注目点は、ズバリ言って住宅関連価格。
中国、韓国、台湾ではここ数年で不動産価格が急騰したが、次は他の東南アジア諸国に波及する可能性があるという。
グラフは過去10年間のフィリピン国内の住宅価格の推移である(GPG社資料)。
ここ2年でかなり値を下げたが、今後、どのように推移するかが非常に注目される。
低金利の現状で、株式市場の活況がこのまま継続すれば、フィリピンで次に資金が向かうのは明らかに不動産市場である。
最近会った不動産業を営む友人の話でも、最近、とくに高額物件に動きが出てきたという。
(参照資料):
フィリピン中央銀行
Philippines Stock Exchange
National Statistical Office
世界銀行
GPG