資生堂、世界で初めて表在性筋膜の加齢変化を定量化 メモ | ひびのおと

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資生堂は、山梨大学医学部 玉田大輝特任助教との共同研究により、顔の肌の最深部にある表在性筋膜(SMAS)※1の加齢に伴う形態変化を、世界で初めて定量的に計測することに成功しました。今回、脳や肝臓の診断にも用いられる高性能MRI※2を応用し、SMASの水分量を指標にして菲薄化※3を推定することで、加齢に伴うSMASの形態変化を非侵襲的に定量しました。また、たるみの重要な因子である年齢やBMIの指標が同等であっても、SMASの老化が進んでいる対象者群ではたるみの程度が大きく、ハリも低下していることから、顔のたるみは、これまで当社が明らかにしてきた真皮や皮下脂肪の要因に加え、それらよりさらに深い部分にあるSMASの形態変化も一因であることがわかりました。さらに、SMASに着目して新たに開発した手技と基剤を組み合わせた美容ソリューションを8週間連用した対象者に対して、高精度なたるみ評価法を用いて測定したところ、持続的なたるみ改善効果が認められました。

 

高性能MRIを活用し加齢に伴うSMASの形態変化を解明

SMASはスポンジ様の組織で、線維のすき間は間質液で満たされています。しかし、加齢とともにSMASが菲薄化することで間質液が抜け線維比率が高くなることから、今回、山梨大学医学部との共同研究により、高性能MRIを顔面に適用してSMASに存在する水分子シグナルの画像化を行いました。その結果、加齢に伴うSMASの形態変化を世界で初めて定量的に計測することに成功しました。20代のMRI画像ではSMASにおいて水分子シグナルが強く水分量が多いのに対し、60代のMRI画像では水分子シグナルが弱く水分量が少ないことが分かります(図2)。また、菲薄化の程度を示すSMASの水分量と対象者の年齢との関係を見ると、加齢に伴い水分量が減少していることから、SMASの形態変化を定量的に測定できていることが分かります(図3)。さらに、年齢やBMIは同程度で、SMASの水分量が多い群(SMASの老化が進んでいないA群)と水分量が少ない群(SMASの老化が進んでいるB群)を比較すると、B群では有意にたるみの程度が大きく、肌のハリもありませんでした(図4)。今回の結果から、たるみは、真皮や皮下脂肪に加え、それらよりさらに深い位置に存在するSMASも原因の一つであることがわかりました。

図2. 仰向け状態の顔部を鼻・頬を通るように輪切りにしたMRI画像。(真皮とSMASは水分量が多く明るく見えるが、間に存在する皮下脂肪は水分量が少なく黒く見える)

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図3. SMASにおける水分子のシグナル強度と年齢の関係

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図4. 年齢やBMIは同程度だがSMASの老化が進んでいない群(A)と進んでいる群(B)における“顔のたるみ”の比較

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SMAS知見に発想を得た独自の美容ソリューションによる持続的なたるみ改善効果

SMASは顔面に特有の構造体ですが、筋膜自体は全身に存在し、筋膜の癒着は肩こりや腰痛の原因になることが知られており、その解消法の一つに、整体院などで行われている吸引施術(一時的・物理的な引きはがし)があります。この施術には、筋膜の癒着を解消し、肩こりや腰痛を改善する効果があります。この施術に着想を得て、加齢によって変化したSMASを物理的に引きはがすように、両手で肌の奥をつまみ刺激を与え、頬全体をひきあげる独自の手技と、その手技を効果的に行えるようにした製剤※4を組み合わせた美容ソリューションを新たに開発しました。この美容ソリューションを8週間継続したところ、連用後には「たるみ指数※5」が有意に減少し(図5)、今回開発した美容手技にたるみ改善効果があることがわかりました(図6)。この効果は、施術による一時的なリフトアップではなく、日々のケアによる持続的な改善効果と考えられます。