北陸学院大学の公開講座「金沢の教会オルガンを訪ね聴く旅」に参加してきました。
企画を簡単に言えば、一日で3つの教会に設置されているパイプオルガンの音を聞き比べられる、レクチャーコンサートで、参加費も無料という信じられないくらい豪華な企画でした。
別ブログで書た金沢在住のオルガニスト春日朋子さんの名前を検索したところ、この企画の参加募集があり、すぐに申し込みました。
講座の様子
(1)日本基督教団金沢教会
金沢の繁華街香林坊から歩いて数分の「柿木畠」という場所にある教会に集合でした。金沢市民であれば知らない人はまずいないというくらいよい立地にある建物です。しかし中に入る機会はあまりありません。
ここにあるパイプオルガンは中規模なパイプオルガンです。配布された資料によるとフランス ケルン社製作 20ストップ パイプ数は1288本とのことです。教会堂の残響時間が長く作られていて、今日は人が少ないこともあるのでしょうが、華やかで力強い音のように思います。パイプオルガンの歴史、構造と音について、実際の演奏を交えたわかりやすい解説ともに聞きました。
演奏された曲はパンフレットによると
J.S. Bach トッカータとフーガ(BWV 565)よりトッカータ
J.C.F Bach 「きらきら星」による変奏曲 ト長調
Johann Gottfried Walther 我ら聖霊を祈り求めます
Charles-Marie Widor オルガン協奏曲5番 Op. 42-1 より トッカータ
でした。
2曲目の「きらきら星」による変奏曲では、パイプオルガンのさまざまな音がわかりやすく演奏されました。 演奏はは谷内江 潤子さんでした。
演奏のあと、パイプオルガンの中を見ることができました。コンサートホールにあるような50ストップ位のオルガンに比べると、小さくコンパクトにまとまっている印象を受けます。
金沢教会から次の若草教会までは、北陸学院のバスで案内いただきました。
(2)日本基督教団若草教会
市街地から少し離れた住宅街にある教会です。この建物(礼拝堂)は、明治23年に建築されもので、国の登録有形文化財に指定されています。現在の場所に移築される前は、金沢の最大の繁華街香林坊にある香林坊大和というデパートの隣で金沢教会の教会堂として使われていたそうです。
ここにあるパイプオルガンは、明治時代からの古いものではないそうで、古いパイプオルガンが傷んで使えなくなったために1997年に新しく設置された物だとのことでした。英国 ウォーカー社製 9ストップの小規模なオルガンです。姿も可愛らしく、飾りに刻まれた葡萄が美しいオルガンでした。音は、全般に丸く低い成分が多い印象を受けました。イギリスと聞いた先入観があるのだとおもいますが、なるほどイギリスらしいと感じました。
ここでは、J.S.Bachのオルガン小曲集などを題材として、Bachが原曲として使ったコラールに対応する賛美歌をまず歌ってみて、そのあとオルガン小曲集から対応する曲を聴き、バッハがどのように作曲・編曲したのかを実際に聞いてみるというスタイルでレクチャーが行われました。公開講座として参加者が能動的に参加して、実際に感じてみることができるという面白い試みです。
BWV 731 コラールプレリュード Liebster Jesu, wir sind hier
BWV 622 オルガン小曲集 O Mensch, bewein dein Sünde groß
BWV 632 オルガン小曲集 Herr Jesu Christ, dich zu uns wend
1曲目を今回の講座のコーディネーターをされた宮本慶子さんが、
2曲目・3曲目を今回の講座のの講師をされた北陸学院大学の楠本史郎さんが
それぞれ演奏されました。
プロテスタントの教会で賛美歌を歌ったのは、2年前のロンドンの教会でキャロルを歌って以来です。
礼拝堂にはリードオルガンもありましたが、こちらは明治時代からのもののようです。
若草教会から、金沢の観光地武家屋敷地区に近い長町教会までは、再び北陸学院のバスで案内いただきました。
(3)日本基督教団長町教会
本日の集合場所である金沢教会から歩いて10分ほどのところにある、ビルの形をした教会でした。2階が幼稚園、3階が教会堂になっています。
立山国際ホテル アルプスの星教会に設置されていた伝統的な作り方で製作されたパイプオルガンが今年(2014年)5月にこの教会に移設されてきたとのことで、まだ調整をしている最中だとの説明をうかがいました。移設にあたっては、教会堂の天井の高さを高くしたり、小部屋を取り壊したりなど、建物にも手を入れられたとのことです。
製作者は 日本の辻オルガン で、バッハの時代の北ドイツのパイプオルガンを想定した構造で製作され、製作に当たっても当時の方法によったものとのことです。12ストップ パイプ数は732本のやや小ぶりなオルガンといえるのではないでしょうか。調律は、平均律ではなく、3度と5度を生かした調律法を使っていると説明されていましたから、キルンベルガーの第3法を採用しているのでしょうか?音は、軽やかで明るい印象を受けます。教会堂の残響時間は短いので、音が鮮明に聞こえました。
さらにオルガンの調整を行って、10月に披露コンサートをするとのことでした。
ここでは、このオルガンの特徴を生かしたオルガンの演奏を存分に聴くことができました。
はじめに、パイプオルガンが教会で会衆の歌とともに演奏される楽器であることを踏まえて、1954年版賛美歌集(※) 312番 「いつくしみ深き友なるイエスは」を歌いました。
以下は、次の曲が演奏されました。
Georg Böhm コラール・パルティータ ただ神にのみ委ねまつる者は
Guy BOVET 暁の星の麗しさよ
J.S. Bach トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
2曲目の作曲家であるGuy BOVETは、現代スイスのオルガン奏者のようです。名前を知りませんでした。この曲では、このオルガンにつけられたZimbelsternと呼ばれる星の装飾をともなった鈴が用いられていました。
演奏は、春日朋子さんでした。バイオリンのレッスンを再開するきっかけとなった、先日の石川県立音楽堂のパイプオルガンとバイオリンのコンサートでオルガンを弾いていた方です。県立音楽堂の49ストップオルガンの演奏とは、だいぶ違う鮮明な演奏という印象を受けたのですが、オルガンは楽器によってまったく特徴が違うのだろうなと想像しました。
帰宅してから、しらべてみたら、春日朋子さんは、みなとみらいホールのインターンシップを終えられたり、神奈川県民ホールのパイプオルガンプロムナードコンサート、水戸芸術館のパイプオルガン・プロムナード・コンサートに出ていらっしゃったりするようです。
みなとみらいホールでの演奏は、こちらで聴くことができます。
パイプオルガンの魅力 春日朋子 KASUGA Tomoko, organ http://www.nicozon.net/watch/so24497485 中学から高校にかけて、学校をさぼって何度も(!)神奈川県民ホール小ホールのパイプオルガン・プロムナード・コンサートに行ったことを思い出しました。
金沢市内(石川県)のオルガン
金沢市は地方都市でありながら10台のパイプオルガンがあるそうです。(石川県のパイプオルガンは金沢市内だけにあると、お話を聞いて理解しました。)
今回はこのうち北陸学院にゆかりのある3箇所の教会を回りました。私はすでに、石川県立音楽堂の大オルガンとポシティフの計2台、カトリック金沢教会の1台は演奏を聴く機会がありました。したがって、今日までで合計6台制覇したことになります。残る4台は、北陸学院の栄光館(職場の近所)、金沢南部教会(ガルニエ工房のポシティフ)と金沢元町教会(?)、そして個人宅にあるのだそうです。栄光館のオルガンは聴く機会が稀にありそうなので、注意深く機会を探してみようと思います。
北陸学院の栄光館にあるパイプオルガンの写真は、こちらのブログで紹介されていました。
http://hiroct.exblog.jp/14261316/
(このほかに、金沢市内のパイプオルガンをwebで検索すると金沢モリス教会・金沢ステンドグラス美術館が見つかります。しかし、ここにあるオルガンはVISCOUNT ORGAN製の教会用電子オルガン(取り扱い代理店日本オルガン株式会社)です。教会やコンサートホールでもパイプオルガンの替わりに大規模な電子オルガンを使っているところは実は多数ありますので、演奏などでの音色としては遜色ないものとおもいます。例:昭和大学人見記念講堂、上智大学クルトゥルハイム聖堂 )
那須ステンドグラス美術館、伊豆高原ステンドグラス美術館に設置されているオルガンは、実物のパイプオルガンなので...。
講座について
今回参加した講座は、「北陸学院大学地域教育開発センター REDeCセミナー」の「北陸キリスト教文化史探訪」というシリーズ第1回に当たる催しのようです。シリーズの第2回以降がとても楽しみです。
ちなみに、今回のこの講座に参加した最大の感想は、実は「世界は狭い、知り合いのつながりは思わぬところにある」ということでした。
なおこの記述は、当日配布された資料とともにレクチャーの内容や移動途中でうかがった話なども交えてかいており、注意して記載はしましたが、正確さの責任はすべて私にあります。
※ 1954年版賛美歌集 長い間、プロテスタント系キリスト教会では1954年版の讃美歌集が使われていて、賛美歌○○番というのは普通この版の讃美歌集をさしていました。しかし、時代とともに言葉が難解となるなど讃美歌集の見直しが行われ、現在は「賛美歌21」という讃美歌集が普及しています。このほかにもいくつかの讃美歌集があります。