受験は水物(みずもの)で、何が起こるかわかりません。
その中でも、受けても受けても合格が出ず、もうダメだと思ったところで、まさかの難関校の合格が出るという話は、よく聞きます。

わたし自身は国立大学1つしか受けず、本人も先生も無理だろうと思っていたのに、幸運も重なって合格することができました。
知人の中でも、そういう実話には事欠きません。

ところが娘は、受験が始まるちょっと前から、「ママはいつもそう言うけどさ、ほとんどの人は普通に落ちてるんだよ。奇跡の合格なんて、ウソだよ」
いくらわたしの体験した実話を挙げても、娘にかかっては、都市伝説扱いです。

そして、合格が1つも出ないまま、7校目の発表を迎えました。
第一志望の大学です。
奇跡は…起こりませんでした。

もともとチャレンジ校だったので、一昨年まで(定員厳格化前)だったとしても、難しかったと思います。
わかってはいても、まだどこも合格が出ていない状態での不合格は、堪(こた)えます。

8校目と9校目の発表は、同じ日です。
どちらも国英歴の配点が200、200、100です。

さあ、どちらから開けるか。
迷った末、受かっている可能性が高い方から開けることにしました。
受かっていれば次も安心して開けられるし、落ちていたら次も落ちてるのだから諦めがつくからです。
受かっている可能性が低い方から開けた場合、受かっているはずの次もダメな場合のダメージが大きいでしょう。

8校目。まさかの不合格。
9校目は開ける気力もなく、「どうする?」と聞くと、「いちおう見る」と。

そして。

9校目、奇跡の合格!
親子で目を疑い、抱き合って泣きました。

高3の途中まで、実力相応校の中では同列1位だった大学です。
受験直前には、2校の志望順位が入れ替わったりしていたのですが、この厳しい状況で、この大学の合格をもらえるとか、夢のようです。
まさに、受けても受けても落ちた末の奇跡といっても過言ではありません。

受験前、娘は、上から順に受けていって、止まったところに入ると言っていました。
人文科学系の学部で、なるべく得意な国英の配点の高いところ。

不合格も最初のうちは、なぜ落ちたのか考えたりしていたけれど、9校目でやっと合格ということになると、むしろ、なぜ受かったのかとすら思えてきます。
その後、残りの4校も全て不合格で、別の意味でも伝説になりました。
かなり手応えのあった大学や、国英のみ2科目の大学、全部です。

何校受かっても、行くのは1校だから。
いろいろな人に言われましたが、合格の感動が薄れてくると、あと2つか3つ受かっても良かったのになぁと思えてくるから、人間って勝手です。