大学定員の厳格化に伴って、一般受験とAO、推薦入試はどう変わるかということを考えてみます。

来年の入試は、今年よりさらに厳しくなることは確かです。
入学者数は、定員ぴったりにしなければなりません。
今年は1.1倍→来年は1.0倍。

そうやって門戸が狭まるのに加えて、受験生も増えます。
現高2+一浪+二浪の構図です。
一般受験はまさに熾烈を極めます。

勤務先や友人の勤務先、我が家の受験結果が出たときは、以下のように考えていました。
大学側が、一般受験でこれだけの学力の子が取れるなら、推薦の枠を狭めて一般受験で多く取ろうと考えるのではないかと。その方が受験料収入も増えますから。
そうしないと、一般入試とAO、推薦組の学力差も開く一方だし、と。

でもよく考えると、そうとばかりは言いきれないことに気づきました。
前回書いた「こんなことなら推薦で入れば良かった」という声が増えたことです。

一般受験がこれほど過酷なら、多少学部の希望が違っても推薦入試で入りたいという子が増えるということです。
指定校が取れたらベスト、AOも公募推薦もWelcomeということですね。
そうなると、推薦入試の子の学力も上がります。

一般入試との学力差は依然として残るでしょうが、その差が広がることもない。
むしろ縮まるかも、ということです。
指定校推薦では、学校の成績の良い子から、いいところを選んでいきますから。

そうなると、あおりを食らうのは、やはり地すべりしていった先ですよね。
大学入学者のある程度の底上げはされるので、いわゆるFランであえいでいた中で、いくつか抜け出る大学もあるでしょう。
それでも…ある基準以下の定員割れの大学は定員割れのままでしょうね…。

そして、ある程度学力のある子が推薦で入ってくるとはいえ、多くの高校生が年内には受験を終え、学校の授業も終わって数か月後、つい昨日まで受験勉強をしていた子と同時に入学するとなると、やはり学力差は生じるのではないでしょうか。

といっても、入学後に中学校レベルの英語や数学、漢字や作文を教えなければいけない大学との線引きはあるだろうと思います。
上位大学の場合は、推薦やAOで大学側が望む優秀な子が集まってくるという話も聞きます。

そしてこれは実際に大学の先生に聞いてみたのですが、(理系の人です)、入学時の学力差は専門科目を勉強するようになると、そんなに気にならなくなるということでした。

そうなると、やっぱり推薦入試希望者は増えていく流れなのかなぁ。
学習指導要領の改訂と、センター試験廃止に伴う入試改革では、コミュ力が重視されるようになるのではないかという話もありますよね。
その一方でAO入試と言いながら、実際には学力テストを課す大学もあるようです。
また、現在、AO入試と推薦入試の時期はずれていますが2020年度からは、時期が同じになるようです。
大学側も大変だろうし、わたしの勤務先のように一般入試だと入れないような子たちにとっても、とても厳しい入試になります。

いずれにしろ犠牲になるのは受験生ですよ。
今までなら入れていた大学に入れなくなっているのだから。

入学定員の厳格化の犠牲者は、今の大学1年生、高3、高2ですね。
入試制度が完全に新しくなるのは現中3ですが、高1は厳格化も3年目だし、翌年の新制度に向けての形も見えてくるでしょうから。

こういう一連のことを世間の人は知りませんね。
それでも世間で求められる“学歴”の大学のランク付けは、十年一日です。
「わたしの時は厳格化で大変だったんです」は通用しません。

いつの時代も、国が気まぐれで入試制度いじると、こんな風にかわいそうな世代が出るんですね。
それにしても、受けても受けても受からないって、就職氷河期の子たちも、こんなだったのかなと想像しています。