たけちゃんのお土産 | マロウの徒然日記

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ガーデニング記録を中心に、日々の暮らしをつれづれなるままに・・・

本日3月31日付けで、夫が定年退職を迎えました。

私たち夫婦は、
小学校の教員という同じ仕事に携わってきました。
私は定年よりも早く退職して
今の花ある暮らしを楽しんでいます。

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同じ職業のなので、互いの悩みはある程度推察できるからでしょうか、
家庭でも職場の話は多かったと思います。
まあ、私は最後まで子供と向きあってきた平教員で、
夫はラスト10年間を管理職の立場で、
ポジションの違いはありましたが…。
利己的な考え方の人からのクレームや
理不尽なことを承知でのみこまなければならないことなど、
悔しさや憤りを感じたこともありました。
しかし、
今となっては、懐かしい思い出です。

先日の卒業式から、
いろいろな方々から退職祝いに花を頂き、わが家はリビングも玄関も床の間も
華麗な花に包まれています。

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ほんとに
ありがたいことです。


そんな中
こんな物を頂きました。

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山陰に家族旅行に行かれたのでしょうか。
カニせんべいのお土産です。
昨日、帰宅後に、
「今日は、校長室にたけちゃんが来てくれた…。」
と、嬉しそうな夫の顔。
たけちゃんは、夫の勤務校に入学しながらも、わけあって転校して行かれたお子さんです。
お母さまが、転校先の学校での悩みを、元の在籍校の校長である夫に相談しに来られたことがあったようです。
けれども、実際のところは、なんの力にも役にも立てなかったのです。哀しいかな、夫の力の及ばない問題だったのです。

そんないきさつなのに、
まして、夫が今年度で退職するなんて知らせてもいないのに、
「校長先生、もしやご退職では…?」
「ええ、僕は明日で最後です。」
「やっぱり。そうではないかと…。」
と、たけちゃんを連れてご挨拶に来て下さいました。
子供の学習指導に直接関わらない校長に対して、保護者からこのような丁寧なご挨拶を受けることは、あまりありません。
特に尽力したというわけでもないのに、
わざわざ訪ねてくださるなんて、
驚きと共に、何かしら温かいものを感じずにはいられませんでした。

私たち夫婦は、退職が近づくにつれ、
自分たちの教師生活を振り返ることが多くなりました。

二人とも決して有能であったわけではなく、
ただただ、誠実に仕事をしてきたことだけが取り柄のような教師でした。
けれども、
その時々精一杯してきた姿勢は、
良いこともまずかったことも含め、
幾人かには認められたのでしょうか。

たけちゃんのお母様がわざわざ訪ねて来てくださるようなことは、
教師にとって宝物を手にする喜びです。
私自身、辞めることを、
リップサービスではなく
心から惜しんで下さった子供や保護者が何人かいたことは、
何よりの餞別になりました。

今日は
そんな温かい人たちとの出会いに感謝しながら、夫婦でささやかな退職の祝杯を挙げました。
二人とも、やり甲斐のある職業人生であったことは、幸福の極みです。

これからは、
『文化と芸術を愛する人生』
を楽しむのだと言いあってきました。
私は一足先に楽しんでますが…。

私には元々ありませんが、
社会的立場も肩書きもない、
ただのおじちゃん、おばちゃんとしての暮らしを満喫したいと思うのです。
そう、
素の人柄を認めてもらえる人に、
職業を通してなっていなくてはいけないですよね。
教師は、子供を教えるのではなく、
子供から元気とやる気をもらえる、
いわば子供から学べる仕事だったのですから。
ちゃんと学んで卒業しなくてはいけないですよね。

近頃、そう思うのです。