イギリスの大学では、多様性 (= diversity) をセールスポイントとしていて、『どのような人種の生徒も受け入れますよ』と広告していますし、私自身、大学で教授はもちろん、生徒からも人種差別的な扱いを受けたことは一回もありません。

 

でも、私の5年のイギリス大学生活で、黒人の教授は0人。アジア人を含め有色人種の教授は、韓国人1人とインド人2人、イラン人1人の合計4人です。今回は生徒の人種ではなく、大学の教授の人種についてお話しします。

 

Advanced HEが2018年に行ったリサーチでは、イギリスには現在全体で19,000人の教授がいて、全体の74%を占める、14,205人が男性の教授。そのうちの約84%、12,000人が白人です。黒人は0.6%の90人。私が黒人の教授を見かけなかったのも無理はありません。女性の教授は4,735人で、これも約84%にあたる4,000人が白人です。黒人女性の教授の割合は0.5%の25人と男性の教授の場合より更に偏った結果になりました。これでも過去のデータよりはマシになっているそうです…

 

 

あまりにも不均等だし、実際に学会の人種差別的な風潮があるのかもしれません。でも、同時に、有色人種の生徒の3人に1人はビジネスや法律の学位を選び、科学や工学を専攻する生徒も白人の生徒より多いそう。もちろんこれらの分野でも教授になることはできますが、もしかすると生徒自身が教授になるより、現場で働くことを望んでいるのかもしれません。

 

確かに有色人種の教授は少ないかったかもしれませんが、私の過去の教授たちは結構多様でした。インド人女性の教授やイラン人の教授は学科長だったし、約半分は女性でした。もちろん生徒の方もいちいち白人の教授だとか女性の教授だとか意識もしません。大学院の時には男性なのか女性なのかイマイチはっきりしない (最後まで誰もわからなかった) 教授もいらっしゃいました。統計が示す数を見れば確かに偏っているんだろうけど…あまり実感はありません。

 

イギリス王室のハリー王子の奥さんであるメーガン妃は、白人と黒人のハーフであるため、この統計にショックを受けたそうですが、別に教授になることが学位を取る目的ではない人のほうが多いわけで…この統計だけで人種的多様性を語れるものではないのでは、と思います。もっともっと根の深い研究が必要な分野です。

 

参考: https://www.theguardian.com/education/2018/sep/07/uk-university-professors-black-minority-ethnic