著:奥宮 芳子

 

1994年4月

共栄書房

 

ドーンセンター図書館より貸出

 

読了しました。

著者は愛知県に住んでおり一男一女の母である傍ら、

私塾を経営していました。

長男の慎君が高校受験に失敗し高校を進学しないことを

決断したことが留学の始まりでした。

葛藤のすえ、オーストラリアで語学研修をさせてから

イギリスはグレードモールベンにある

インターナショナルスクールに留学させます。

その後、慎君は姉の留美ちゃんがイギリス大学進学を志して

ファウンデーションコースに入学したのを機に

ストラットフォード・エイボンの公立のカレッジに移ります。

そこでAレベルの勉強をします。

 

本書はこの慎君のスランプを案じた著者が

様子を見に渡英する所から始まります。

その後、留美ちゃんはファウンデーションコースを修了し、

レスター大学に入学します。

Aレベル取得のためのイギリスの6th form college留学している

慎君の学業の内容や留学記、

同じく姉の留美ちゃんの所感などが著者の口から語られています。

 

暗記ではなく論理的思考力を問うイギリスの教育の話は興味深く楽しめました。

カレッジの数学の問題の1例です。

車の走行中、前との車間距離を2秒間空ければいいというがそれは正しいか、

もし前の車がトラックならどんなことに気をつけるか、

その車を追い越す場合に支障になることはなにか、

これらの問いに数学的思考で答えます(p.157)。

トラックの車体の距離、

トラックとその前の車の速度、

時速何mの時mどんな状態なら停車できるか、

など様々な要素を考察し、数学的に説明することが問われます(p,158)。

これはかなり難しそうだと思いました。

 

著者は留学の様子を見に、何度かイギリスを訪れます。

学校の先生へのインタビューや子どもを留学させる

親の不安や心配事が綴られています。

著者は教育に関心があり、

イギリスと日本の教育制度の比較が言及されています。

イギリスで人権意識が高い理由は異文化共生社会では

異なる背景と価値観を持つ他民族とつきあう必要があります。

社会通念が異なるので、人権が共通の人間性のはかりになります。

そして人権意識が社会形成に大きく影響すると著者は考察します(p.76-77)。

 

親目線の留学記のため、

お子さんが留学された方、

またはお子さんの留学を検討されている方にお薦めです。