『出版禁止』死刑囚の歌

長江 俊和 著 新潮文庫

 

 

【ネットの説明文から】

『出版禁止』でミステリー界を瞠目させた長江俊和氏。

巧みに張りめぐらされた伏線と、きわどく忍び込ませたトリックに、読んだ後、「騙された! 」「えーっこういう話だったの?! 」と読者諸氏の絶叫と驚嘆をひき起こした。ミステリーとしてのクォリティの高さと、フェイクドキュメンタリーのリアルな禍々しさで、多くのファンの心を鷲づかみにしたのだが、その長江氏が満を持して発表したのが、本書『出版禁止死刑囚の歌』である。

冒頭から、意味深な言葉が配されている。

「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」

奇妙さなど少しも感じられないこの言葉に、読み終わった人は呆然とし、戦慄するに違いない。そして必ず天を仰ぐだろう。「今回もまた騙された! 」と。

 

出版禁止死刑囚の歌

 

 

<禁止>シリーズの前作は飛ばして3作目から読みました。

特に問題はないようなので…

読書する時間が取れない状況にあり、しばらく読後感想投稿は時間を置くことになると思います。

 

 

取材記事様ノンフィクションの体裁をとった小説で、ちょっと珍しい構成だ。

 

1993年、千葉県柏市で6歳と4歳の姉弟が誘拐され無残な姿で発見された

犯人は浮浪者で自首をしてきた。そして姉弟の衣服を持参し遺体の場所を自供して逮捕される。

死刑判決を受け、2011年に死刑は執行された。

犯人は自供したものの、動機は明かされないままだった。

 

そして22年後の2015年、東京都向島で凄惨な一家三人殺傷事件が発生。

なんと、殺害されたのは22年前の姉弟殺害事件の両親であった。

口の中に紙が丸めて詰め込まれていた。

その紙は柏市事件の死刑囚が書いた短歌で、ある出版社から出版されていた。

姉弟の殺害時のことを謳っていると非難を浴び、その後、

発禁本 になっている。

また、その事件でただ一人生き残ったのは22年前の事件後に生まれた娘。

 

そして物語は、事件の関係者などからの聴き取りの取材記事をノンフィクション風に綴られて事件の真実に迫っていく。

 

事件の真相がなかなか解明されず、先が気になり読み進める。

動機は何だったのか。

死刑になった男はそもそも本当に真犯人だったのか。

 

読了して気が付いた。伏線が多数あったことに

特に注目すべきものは、P146に綴られていた被害者の姉弟の父親が霊安室で発した言葉が、深い意味を持つ伏線であったとは…

一つは「見つかったのは二人なんですか」

もう一つは裸の姉弟の遺体を前に「どうして裸に…」

これが、真相に直結する言葉だったとは…

本を読んでない人には、何のことだからわからないのでネタバレにはならないからいいよね。(; ^ -^)

 

うーん、それにしても暗い物語だったなー

でも面白かったよ。