『聖母』
秋吉 理香子 著 双葉文庫
【内容(「BOOK」データベースより)】
郊外の町で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘は無事だろうか、と不安に陥る。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。「この子を、娘を、守ってみせる。そのためなら何でもする」母がとった行動とは―。驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
東京都郊外の町の河川敷で、4歳の幼稚園男児の遺体が見つかる。
死後性器を切り取られ、肛門に性的暴行を受けていた猟奇的でむごいものだった。
死体は丁寧に洗浄された後、漂白剤で清め遺棄されるという異常そのもの。
物語は3つの視点で進んでいく。
①主婦の保奈美
不妊症治療で辛い思いをした主婦。43歳で女児が授かり、その子は今3歳である。
保奈美の住む町の近くでの事件だったので、娘を残忍な事件から守ろうと決意する。
②事件の捜査を担当する坂口刑事
50歳近いベテランの坂口刑事は、若くて美人で頭が切れる女性刑事谷崎と組んで捜査に当たる。
③高校生の真琴
剣道部に所属しているので、時々ボランティアではあるが、ちびっこ剣道クラブで教えている。
その教え子が幼稚園児殺害事件の被害者と友達であることを知る…。
この3視点で物語が進んでいくが、50ページほどで犯人が明かされる。
読者も犯人のめぼしは早々とついていたので特に驚きはない。
ということは、これからどういうストーリー展開になるのかと先が気になり読み進めることになる。
三分の二くらい進んだところで、叙述トリックの一つが明かされる。
うーん、そういうことか。気が付かなかったなー。なるほどね。
さてさて、それからどうなるのか…
そして、物語がちょっと「ん?」何か変。
どういうこと?
狐につままれた感じになる。
最後の最後で叙述トリックの醍醐味を味わう。
騙されまいとしっかり読んでいたつもりだったのに見事に騙された。
似たような叙述トリックの本を何冊も読んでいたのに、何にも役に立っていなかった。
読後、前に戻って確認作業。
伏線がいっぱいあったのに、読者が勘違いするような書き方でこれでは騙されるわ。
叙述トリックにはいくつかのパターンがあって、その一つ一つは知っていたはずなのに…
その中でも、よく使われていたパターンの一つなのに見抜けなかった。
私もまだまだ読みが足りないなー。
精進しまーす。