『忘れられた少女』

カリン・スローター 著 ハーパーBOOKS

 

 

私の大好きな作家カリン・スローター

特に〈ウィル・トレント〉シリーズは大好きです。

この『忘れられた少女』を期待して読みました。

 

ゴミ置き場で見つかった全裸の少女

学園一の優等生に、何が起きたのか!?

40年近く封印されてきた残酷な秘密が、新たな悲劇を呼ぶ

 

【内容(「BOOK」データベースより)】

連邦保安局の新米保安官補アンドレア・オリヴァーは、最初の任務として、殺害を予告する脅迫状を受け取った判事の身辺警護を命じられる。その判事は、38年前に18歳の娘エミリーを殺害されていた。誰もが一目置く人気者で優等生だった少女は、プロムの翌朝、裸をさらした無惨な姿でゴミ置き場で発見されたのだ。そして迷宮入りした事件の真相を突き止めることが、アンドレアのもうひとつの任務だった――。

脅迫事件を追うアンドレアは、ベテラン保安官補のパートナーとともに捜査を始め、自殺が相次ぐという不審な農場に目を留める。その矢先、自殺した女性の遺体が新たに発見され、駆けつけた噂の“農場”には、奇妙なことに、痩せ細った女性たちと、かつてエミリー殺害事件の容疑者だったふたりの男の姿があった――。過去と現在、ふたつの悲劇の背後に隠された恐ろしい秘密とは!? 『彼女のかけら』関連作!

 

忘れられた少女

 

 

この『忘れられた少女』は、『彼女のかけら』の続編と言えるものでした。

それぞれ単発ものだと思っていました。

『忘れられた少女』の方に興味を持ったので先に読んでしまいました。

 

『彼女のかけら』の主人公アンディが本作のアンドレアで、前作の2年後という設定。

でも、一話完結なので特に前作を読んでいなくても問題はないですが、読んでいたほうがアンディと母親のローラ、実父の関係など理解でき、しっくりくるように思いました。

 

 

主人公は、厳しい訓練を終えて連邦保安局の新米保安官補になったアンドレア・オリヴァー

最初の任務は、殺害の脅迫を受けた81歳の女性連邦判事の警護だった。

だがそれは名目で、真の目的は38年前に判事の娘エミリーが殺された事件の真相究明だった。

エミリーが18歳のとき、ドラッグで意識のない状態で何者かにレイプされ、その後プロムの日にゴミ箱の中で裸の状態で見つかった。妊娠7か月であった。

実際には、死亡しておらず瀕死の状態で見つかり、子どもを助けるため2か月脳死状態のまま延命させて無事子どもは生まれ、エミリーは亡くなった

 

38年前の事件と現在の判事脅迫事件とつながりがあるのか。

そして、アンドレアがなぜ38年前の事件にかかわることになったのか。

そこから、過去と現在が交互に語られ物語が進んでいく。

 

 

優等生で、夢見る未来のある18歳の少女が、ドラッグにより意識のない中、レイプされ妊娠。

学校は退学させられ、仲良しだった友人たちや周りの大人たちから軽蔑の目で見られ、エミリーの絶望的な思いが、読んでいて胸が痛くなる。

子どもの父親が誰なのか

エミリーの仲良しの男友達4人と高校教師の5人の中に父親がいて、その父親が犯人であるという仮定で捜査していく。

5人の男たちと女友達の証言が随所に挿入される構成になっている。

中盤からは違う展開になっていき、それが38年前の事件と関連していくことになっていく。

 

 

本作は、私の好きな〈ウィル・トレント〉シリーズとは随分雰囲気が違った。

これが同じ作家の作品?・・・と。

文章や会話の中に比喩的な表現が随所にあるので理解しにくく、そこで読むリズムがそがれる。

また上下巻にするほどの文書量は冗長すぎると思わざるを得ない。

同じような内容をスピード感なく描写しているので、早く先に進んで欲しいとじれったくなる。

また、主人公のアンドレアのキャラの個性がはっきりしなくて感情移入がしにくい。

何しろストーリーがあまり面白いものではなかったのが一番の難点。

 

これがあの、カリン・スローターの作なのかと思うと、とてもがっかりだった。