『霧越邸殺人事件』<完全改訂版>
綾辻 行人 著 角川文庫
【内容(「BOOK」データベースより)】
1986年、晩秋。劇団「暗色天幕」の一行は、信州の山中に建つ謎の洋館「霧越邸」を訪れる。冷たい家人たちの対応。邸内で発生する不可思議な現象の数々。見え隠れする何者かの怪しい影。吹雪で孤立した壮麗なる“美の館”で舞台に今、恐ろしくも美しき連続殺人劇の幕が上がる!
美の女神が司る“死の館”から、貴方はもう、出られない―。続発する第二、第三の殺人。執拗な“見立て工作”の意味は?真犯人は?動機は?邸内に潜む“何か”の正体とは…?『Another』の綾辻行人が智力の限りを尽くして構築した、もうひとつの代表作―『霧越邸』は本格ミステリの様式美を究め、突き抜け、そして永遠の伝説となる!!語り下ろしインタヴュー「霧越邸秘話」収録の“完全改訂版”。
劇団『暗色天幕』主宰の “槍中(やりなか)”は、友人の小説家 “鈴藤(りんどう)”と劇団員6人を連れて計8名(男5名・女3名)で信州を訪れた。
公演成功の打ち上げの意味での二泊三日の旅行だったが、帰途、バスの故障で歩く羽目になり、追い打ちをかけるように道に迷う。
雪降る中、寒さで凍えながら、ある洋館(霧越邸)にたどり着く。
そこには、車が動かなくなり、洋館に助けを求めた先客がいた。
地元の医師 だった。
洋館の住人は、その9名を迷惑そうにではあったが、この吹雪では仕方がないと泊めてくれることになった。
そして、そこから物語は邸内での殺人事件となっていく。
最初の被害者は劇団員で一番人気の超イケメン。
北原白秋の童謡『雨』の歌詞になぞらえて死体を装飾した《見立て殺人》のように見える。
また奇妙なことに、彼らの名前に符合するものがこの邸内にあり、それが予言的な意味合いを含むことに気が付く。
この邸内の当主や使用人など、謎めいていて不思議な雰囲気。
そして第二の殺人。今度は女性劇団員が被害者。
電話は繋がらず、吹雪は収まらずで、ここに留まる以外になく、みな不安になってくる。
そしてクローズド・サークルの第三、第四の殺人が・・
探偵役は劇団主宰者の槍中、小説家 鈴藤の『私』が語り手となって物語は進んでいく。
ここの住人たちは、朝が早いので夜は早くに就寝。静かなはずなのにときどき怪しげな音や人の気配がする。
住人は5人しかいないというのに、誰かいる気配。
だんだん、物語も得体のしれない恐怖でスピードアップして一気読みになる。
読了。
この建物自体の超自然的な現象と現実の犯罪とがシンクロしたような物語だった。
この犯人の設定は、最近どこかで読んだことあるような…
あれだっ!2023年2月に読んだあの本だ。
私が騙されて悔しがったあの小説。
この騙しを、またここで…
まさか、あの2月に読んだ本と同様の騙しをするんじゃないだろうなー
なんてうすうす思ってはいたけれど、まさかねー、そんなはずないよねー
なんて否定していたら、まさかのまさかでまたもや同じ手口で騙された…
結末にかけては、ちょっとこじつけに凝りすぎて、わざとらしかったけれど、楽しく読めたので良しとする。
というわけで、うすうす思ったということで10%当てということにしておこう。
まぁ、90%外れだけれどね (; ^ -^)