『Another』
綾辻 行人 著 角川文庫
【内容(「BOOK」データベースより)】
夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。名手・綾辻行人の新たな代表作となった長編本格ホラー。
奇妙な「二人だけの孤独と自由」を過ごす中で、恒一と鳴、二人の距離は徐々に縮まっていく。第二図書室の司書・千曳の協力を得つつ、“現象”の謎を探りはじめるが、核心に迫ることができないままに残酷な“死”の連鎖はつづく…。夏休みに入ったある日、発見させる一本の古いカセットテープ。そこに記録されていた恐ろしき事実とは!?―ゼロ年代の掉尾を飾った長編本格ホラー。
榊原恒一の母は15年前、恒一を産んだ後この世を去っている。
そして今、父が1年間の予定でインドに行っているため、恒一は 夜見山 の祖父母の家に厄介になることになった。
それに伴い東京から<夜見山北中学三年三組>に転校することになったが、運悪く通学初日、肺気腫になり入院することになった。
病院のエレベーターで、左目に眼帯をし、影の薄い謎めいた少女と出会う。
退院後、初めて登校して、エレベーターで出会った少女が同じクラスの女の子で ミサキ・メイ(見崎鳴)という名であることを知る。
このクラスの雰囲気に違和感を覚える。
ミサキのことをクラス全員が無視しているようだ。
恒一は、その少女に興味を持ち彼女と接触を試みる。
この中学には、<夜見山北中学の七不思議>と言われている気味の悪い言い伝えがあり、もう一つこれとは別に、誰もが言いよどむある話もある。
それが26年前の<夜見山北中学三年三組>に起きた、ある生徒の突然の死に関わる奇妙な言い伝えで、毎年 三年三組だけに起きる恐ろしい話だ。
だが、稀に起きない年もあると言う。それはなぜなのか?
小説の冒頭では、26年前のそのできごとのさわり部分が語られ、次ページから1章が始まる構成になっている。
何とも薄気味悪いホラーストーリーが始まる。
ストーリーが進んでくると、いままでの三年三組に起きた事実の詳細が徐々に明らかになってくる。
恒一の亡くなった母も三年三組の生徒であったことなども分かり、かつての三年三組だった人や、現象を知る人などに聴き取りをするとますます謎が増えてくる。
そして、その 呪いとも言えそうな現象 は、関連する人が次々と死んでいくという恐ろしいものでもあった。
三年三組の生徒たちは、この恐ろしい出来事を回避することができるのか。
この小説は、得体のしれない怖さ が全編を通してある。
次はだれが死んで、それからどうなるのか皆目わからないからだ。
三年三組の中にいる元凶ともいえる<タヒ○>が誰なのか、その謎に迫る後半は一気読みとなる。
<タヒ○>が誰なのかは見当がついた。
ただ、その<タヒ○>の隠された情報が最後の最後で明かされる。
それは想像だにしなかったことなので驚かされた。
随所にあった気になる描写が伏線であったことが後に分かり、それが徐々に回収される展開に引き込まれる。
最後まで、怖がりながらも面白く読んだけれど、ホラー的な物語って科学的に解明できないままなので、なぜそんなことが起きるの?って思ってしまう。
ホラーに、なぜなんて言うのは野暮なんだけどね。