『アウトロー』

リー・チャイルド 著 講談社文庫

 

ジャック・リーチャーシリーズ5作目。

 

トム・クルーズ主演で映画化されている『アウトロー』

 

原作のリーチャーは身長2メートル近くあり、体重も100キロ以上。

 

映画化が期待され続けて、なかなか実現しなかったのは、この体格の俳優がなかなか見つからなかったからだと思う。

 

トム・クルーズとはイメージがかけ離れているから、小説と映画のリーチャーは別物だと思ったほうがいい。

 

映画は登場人物もストーリーもだいぶ削られているみたい。

 

原作はミステリーの謎解きに重きを置いているけど映画はそれよりもアクション、特にカーチェイスとかに力を入れていると言われています。

 

どちらも面白いと思うわ。

 

 

トム・クルーズの『アウトロー』の映画広告

 

 

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【内容(「BOOK」データベースより)】

平和なダウンタウンで起きた、ライフル狙撃による無差別殺人。

容疑者は6時間後に特定された。

証拠はこれ以上ないほどに揃っており、誰もが容疑者の有罪を確信していた。

だが容疑者は黙し、たった一言だけを発した―。

「ジャック・リーチャーを呼んでくれ」

全米ベストセラー・シリーズ。

 

事件の報道を目にして町にやって来たリーチャーを罠にはめようとした若い女が惨殺された。

事件のすべてを裏で演出している「操り人形遣い」は何者なのか?

容疑者の妹、女性弁護士らと真相究明に挑むリーチャーの前に立ちはだかる者の恐るべき正体は。

映画化で話題沸騰の最強アクション・サスペンス。

 

アウトロー

 

 

小説の冒頭で、無差別殺人の容疑者ジェイムズ・バーは、取り調べで沈黙を通し、最後にたった一言「ジャック・リーチャーを呼んでくれ」と。

 

これで、たぶんリーチャーが容疑者を救う情報を持っていて助けてくれるのかと思った。

 

ところが違ったのよね~

 

リーチャーは「わたしがここへ来たのは、彼を埋葬するためだ」と言った。

 

えええーっ???

 

どういうこと?助けるんじゃないの?

 

そして「彼は以前にも同じことをしているからだよ。一度やればもう充分だ」と。

 

 

無差別殺人の容疑者ジェイムズ・バーは、軍のスナイパーだった。それも優秀なスナイパーでもなく平均的な腕だった。

心の奥底で人殺しを楽しみにしたがっているタイプの人間だったが、そのチャンスのない日々。

 

ある時、彼はクウェート・シティにいたとき、待ち伏せして、あるマンションから出てきた男たち4人を射殺した。

被害者は、アメリカ軍の下士官で週末の外出だったため私服だった。

ジェイムズは、4人とは面識もなくまったく知らない人間だったのだ。

 

リーチャーの調べによると、その死んだ下士官たちは、湾岸戦争で略奪、レイプ、武装強盗、やりたい放題。

 

ジャック・リーチャーはその当時、軍警察官で彼を取り調べていたが、政治がからみ、湾岸戦争はアメリカの輝かしい勝利でなければならなかったため、結局、隠ぺいを余儀なくされ極秘事項となった。

 

4人は、パレスチナ人に殺されたことになった。

 

そのとき、リーチャーはジェイムズに言った。

「もしまたこんなことがあったら、見つけ出して必ず後悔させてやる」と……

 

 

あまりにもゆるぎない証拠でだれもがジェイムズの犯行に間違いないと思った。

が、完璧すぎる。

こんなに証拠を残すだろうか。

そして、狙撃手はもっと撃ちやすい場所があったにもかかわらず、あえて違う場所を選んだ。

リーチャーは、だんだん不審に思い始める。

 

捜査を始めた中、ある若い女が殺された。

リーチャーに絡んできた女で、リーチャーは容疑者として追われる身になった。

 

リーチャーはあんな大きな体でも身を隠すことがうまい。

リーチャーを探していた法律事務所の調査員が言った。

「あんたは見つけにくい人だな」と…

リーチャーは言う「それはちがう」「わたしは見つからない男なんだ」

こういう会話が随所に出てきて面白い。

寡黙なリーチャーの返答は、簡潔でかっこいい。

 

これからの彼の推理力と行動力は自信に満ちていて、それはそれは惚れ惚れする。

 

尾行している悪漢は、悟られていないと思っているが、彼は後ろを振り向かなくても、尾行者を確認する方法は心得ている。

 

彼は、もと軍の警察官、それも優秀な男だ。自分以上の優秀な人間はいないと豪語するくらいだ。

 

一般常識として、人ごみの中に紛れて逃げる方が見つかりにくいと思うけど、彼の場合、頭二つ分も上に飛び出るので、すぐ見つかる。

人が少ない場所の方が見つかりにくいらしい。

 

ある時は、地べたにうつぶせに体を伏せて身を隠した。

こんな隠れ方、知らんわ~ww

 

“大男総身に知恵が回りかね”ってことわざがあるけど、彼には通用しないね。

 

そして、ストーリーは進んで行き、ジェイムズをはめた謎が解けてきた。

 

リーチャーは、悪党6人を倒しに行く。

 

射撃場経営者キャッシュに協力を依頼。

キャッシュは、かつて合衆国海兵隊千ヤード射撃招待競技で三位の実力を持つ軍曹だった。

そして、リーチャーはその年から10年後同じ競技で優勝している。

かっこいぃぃぃぃ~~

 

彼に、リーチャー用に銃を頼んだ。……が、キャッシュは自分用しかもっていないと言い、リーチャー用にはナイフを持ってきた。

あちゃー~~!!!わろた~

 

これから、銃撃戦が始まるというのに、リーチャーはナイフだけか~ぃ!!

 

キャッシュが言う「最初に敵を倒して、そいつのを奪えばいい」
適当な男だわいww

 

ここから、リーチャーの戦いぶりが楽しめるよ。

 

最後「操り人形遣い」と言われている男との対決。

 

リーチャーの誕生日が10月29日、この29日という数字が対決に役目を果たす。

なかなか面白い設定になっている。

 

とうとう最後まで、銃は使わずにナイフと素手で戦った。

 

大興奮の中、読み終わった。すごいやつだ~

 

 

 

リーチャーの性格はストイックで寡黙、孤独を好む。

 

冷静沈着なので怒りをあらわにすることはほとんどない。

 

正義のためなら手段を選ばず悪を罰するが、良心の呵責といった感情は持ち合わせない。

 

 

下記のアウトロー7カ条を見ると、もっと詳しくわかるよ。

 

リーチャーのアウトロー7カ条ジャック・リーチャーwikiより)

 

1.職には就かない

(陸軍憲兵隊の捜査官だったが、除隊後は全米を放浪)

 

2.住居は持たない

(徒歩やヒッチハイク、バスで移動し、流れ着いた街の安宿を転々)

 

3.身分や居所を明かす物は持たない

(携帯電話、免許証、クレジットカードなどは持たない)

 

4.人とは絶対につながらない

(恋人、家族、友人など面倒な人間関係は必要なし。女も一夜限り)

 

5.証拠は信じない

(警察はまったく信用せず、証拠も信じない)

 

6.法律は関係ない

(自分に絶対的な自信を持ち、己が定めたルールこそが法)

 

7.悪は決して許さない

(悪を見過ごすことができず、正義のためには手段を選ばない)

 

 

現実だとこんな人、嫌われ者だけど、小説の中だと惚れ惚れするほどかっこいいのよね。