アーナルデュル・インドリダソンの『湿地』に続いて、『緑衣の女』(創元推理文庫)を読み終わりました。

「捜査官エーレンデュルシリーズ」の日本翻訳2作目です。(日本では3作目から翻訳されています)

やっぱり、北欧ミステリーは暗くて重かった。

読後すぐの感想は、構成がとてもよくできているということ。

骨をしゃぶっていた赤ん坊。たまたま居合わせた医学生が、その骨が人間の肋骨の一部であることに気が付くことから物語が始まります。

そして、全体の骨が見つかり、それが50~70年前のものであることがわかります。

構成は二つの流れ。一つは50年以上前のある家族の悲劇的なストーリー、もう一つはそれが殺人事件になり捜査を始めた捜査官エーレンデュルたちのストーリー。

この二つが交互に流れを作っていきます。

テーマはDV。

加害者と被害者の内面をとらえて考えさせられます。

楽しく読む本ではなかったけど、とても力量ある作家でした。

ただ1作目の翻訳がちょっとね~と思っていたけど、2作目の本作はあまり気にならなかったから、慣れたのかな~……

 

 

 

『緑衣の女』のあらすじ

 

男の子が拾った人間の骨は、どう見ても最近埋められたものではなかった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。世界中が戦慄し涙した。究極の北欧ミステリ登場。