主治医のO先生はステロイドがお嫌いなようで、私にステロイドを使うことをとても嫌がっていた。
たしかに糖尿病はあったけど、でもそんなに重症ではなかったし、副作用が気になると言っても、命あっての物種だ。それなのにどうして頭からステロイドを拒絶したのかな。
特発性の間質性肺炎には効かないと言っていたけど、いろんな方のブログを拝見すると、けっこう特発性でもステロイドを使っている。
手荒れや筋力低下の症状があるからと、膠原病内科を受診したけど抗体が出なくて、「症状は出てるけど、抗体が出ないから、ここでは何もできない」と膠原病内科の先生に言われてからも、ステロイドは使ってくれなかった。
でもその後、3か月くらいで症状が進んだとき、「すぐに肺移植の手続きをしましょう。福大病院に紹介状を書きます」と言ってくれて、2週間後には福大病院を受診できたことは、ほんとにありがたいと思った。
そしてそこで、まだ内科的な治療が全くなされてないから、まずステロイドをためしてみるように言われたのが生死を分けた、ともいえると思う。
そこまで言われてやっとO先生もステロイドを使うことにしてくれたのだ。
で、やってみると、あら不思議!3日くらいで咳がおさまり、あんなにひどかったメカニックハンドもスッとひいた。退院するころにはペットボトルも開けられるようになったし、退院してからは布巾が絞れるようになった。指先に力が入るようになったのだ。
こうなってくるとフツフツと心に湧き上がってくる疑問。
・・・・・どうして半年前にステロイドを試してくれなかったの?先生の判断は間違ってなかったの?
でもさすがにそれは言えなかった。言っても仕方にないことだったし。
ぺこぱじゃないけど「時を戻そう」が出来ればなぁ。
この時のステロイドの効果はO先生も驚いたみたいで、珍しく嬉しそうに
「これはなかなかいいですね。肺移植の必要はないかもしれないですね。別のシナリオが見えてきたな」
とまで言ってくれた。
私は、治療の結果もうれしかったけど、結果を喜んでくれた先生の顔を見ることが出来たのがうれしかった。
自分の患者が良くなってうれしくない医者なんていないだろうけど、それまで半年以上、悪い結果ばかりで、先生の真剣な顔しか見ていなかったから、先生が嬉しそうなのを見て、自分が褒められたようでうれしかったのだ。
その時30mgから始めたステロイドは、25mg、20mgと減らしていき、去年の9月に7.5mgまで減らしたところでメカニックハンドが再び出てきた。
原因がステロイドを減らしたことにあるのは明らかだった(と思う)。でもメカニックハンドは復活したけど、肺に関しては変化なしだったので、ステロイドはこのままで、皮膚科でステロイドの塗り薬を出してもらうことになった。どうしてもO先生はステロイドをふやしたくないらしい。もちろん、私の体を心配してくれて、のことなんだけど。
しかし、その後も指先は変わらず切れまくっていた。
復活したメカニックハンドを見た先生は、
「う~ん」と考え込んで、
「ステロイド、増やしましょう、12.5mgにしましょう」
といった。
その後、すぐにメカニックハンドは消えた。
やっぱりステロイドってすごい!