そもそも…

「モデルさんはあんなに細いのに元気でキレイじゃないですか。私も痩せてああいうモデル体型になりたいんです」
って診察室で話してくれる患者さん、意外と多いのです。
そう、摂食障害。
おもに拒食症と言われる患者さんです。
たしかに10代くらいの女の子たちにとって、モデルさんはとてもわかりやすい「憧れ」の対象。
ステキに服を着こなして、キレイなお肌に魅力的な表情。
最近はモデル出身の女優さんやタレントさんもたくさんいるし、ますます身近な憧れの存在になってきてる。
あんなふうにステキな女性になりたい!って気持ち、すごくよくわかります。なれるもんなら私もなりたい(笑)。
でも。
そもそも痩せたらみんなモデルさんみたいになれる…ってわけじゃないよね?
痩せたからって脚が長くなるわけでもないし、痩せたからって顔が小さくなるわけでもない(細い顔にはなるかもしれないけど)。
モデルさんになれるようなひとたちは、生まれつき体型に恵まれているのです。
誰もがモデルさんみたいになれるわけじゃない。
モデルさんになれるひととそうでないひとの間には、努力だけではどうすることもできない分厚い壁があるのです。
私自身もその壁のこっち側にいる(もちろんモデルさんはあちら側)のですけどね。
私が痩せたところで、モデル体型には絶対ならない。すっごく自信を持ってそう言えます(威張りすぎ)。
恵まれた体型に生まれついたごく一部のひとが努力してやっとなることのできるモデル。
大多数の普通の体型のひとは、モデルになる以外の道を模索して、そのための努力をしていかなくてはなりません。
きっと生まれついて向いてることや、生きていくなかでやりたいことや好きなことが見つかるはず。
それはモデルみたいなわかりやすいかっこよさのない、地味なものに思えるかもしれないけど。
花開くのはずっと先のことかもしれないけど。
でもきっといつかたどり着けるはず。
だから、育ち盛りの大事な身体を削ってまで無茶なダイエットをしてほしくない。
と、私は思います。