「五月雨に鳰(にほ)の浮巣を見に行かむ」 松尾芭蕉
ーー「水鳥の巣」は夏の季題である。その中で「鳰・(かいつぶり)の巣」は最も
特徴があり、水草の茎を支柱として、水面に草の葉茎などで台形の「浮巣」を
作り、水の干満に従って軽く浮くようになっている。鳰の海と言われる琵琶湖へ
水かさの増した五月雨のころに、珍しいその「鳰の浮巣」を見に行こうと思う
という意味。
芭蕉はこの句について、「五月雨」も「鳰の浮巣」も、連歌以来の伝統的題目
であって、俳諧性はない。つまり、言葉としては和歌以来の雅言でも何でもない
だが、それを雨中に「見に行かむ」という、物ずきな風狂人の心に俳諧性がある
という。こういう興じ方は、和歌でも連歌でもなく、やはり俳諧なのである。
「名月や池をめぐりて夜もすがら」とか「旅人と我名よばれん初時雨」とか、
同じような意味で俳諧である。
「芭蕉全句」 山本健吉
「かいつぶり」は何度も見ているが 「浮巣」のことは知らなかった
見たかった!
、、、、、五月雨の雨中に「見に行かむ」という興じ方物ずきな風狂人の心に俳諧性がある
「俳諧性」とは、そういうこと
風狂人には 「俳諧性」が潜んでいなければならない
若くして家族を捨て出家した「西行」は旅人であり風狂人であり俳諧性がある
「西行」の和歌には俳諧性がある 宮中の和歌とは一味違う
「願わくば花の下にて春しなむその如月の望月のころ」
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