『髪結いの亭主』
ネタバレあり。
(推薦映画)
★
こんにちは。
スターシード図書館へ
ご来館くださり、
ありがとうございます。
館長の星子(ほしこ)です。

★
今日は推薦映画をご紹介したいと
思います。
それは、パトリス・ルコント監督の
『髪結いの亭主』
です。
有名な映画なので、ご存知の方も
多いかもしれませんが、
一応、あらすじです↓
海辺の町に住むアントワーヌは、
少年時代、理髪師の女性に恋をし、
大人になったら、絶対
理髪師と結婚するのだ
と決意する。
中年になったアントワーヌは、
ある日、老人から理髪店を譲り受けた、
美しい理髪師マチルドを見て一目惚れ。
アントワーヌは彼女に結婚を申し込む。
二人は見事ゴールイン!
アントワーヌは憧れの理髪師の妻を得て、
妻のマチルドが理髪師の仕事をする姿を
店のなかで眺める日々。
ケンカも、ほぼなし。
ケンカしても、大したことなくて、
すぐに楽しい感じに戻って、仲直り。
おまけに、アントワーヌとマチルドは
体の相性もバッチリで、笑
心も体も満たされる、幸福な毎日を送るのだった。
と。このままハッピーエンドかと
思いきや、映画は意外な展開を見せます。
(以下ネタバレあり)
周囲の人間が年老いていく姿を見て、
しだいに、不安な表情を浮かべるようになる
マチルド。
ある日の夕方のこと、雷雨の中、
マチルドは買い物に行くと言います。
アントワーヌは何も疑うことなく、
彼女を行かせます。
そして、川(貯水池?)に、
飛び込み自殺するマチルド。
残された手紙には、
あなたが私に飽きたり、
不幸になる前に死ぬ
といったことが記されていた。
マチルドの死体を見て、
(死体は映りません。遠目に見ているだけ)、
手紙も読んだアントワーヌ。
そして、次の場面。
アントワーヌは店を開けています。
そして、来た客を招き入れます。
アントワーヌは客に、
妻が戻ってくるのでと言います。
そう。アントワーヌはマチルドが帰ってくるのを、
今も、店で待っているのだった…。



★
マチルド、なんで死ぬねん!?
と思う方も多いと思いますが。
心から愛し合い、
肉体的にも深くつながっていたし、
いつも同じ理髪店に一緒いたのだから、
寂しいということは、
なかったはず。
まあ、アントワーヌが理髪師としての
マチルドを愛していたのか、
マチルド自身を愛していたのか、
その辺り、考えてみる余地はありますが。
だから、年取って理髪師できなくなったら、
アントワーヌに愛されないと
思っちゃったのかな、とか…。

でも、マチルド、
死ぬ必要なんて、なかったですよね、
だってラストのアントワーヌ、
まだマチルドのこと待っちゃってるし、
かわいそうじゃないですか!

自分が不幸になりたくないからと、
アントワーヌを不幸にして
マチルドもある意味、
すいぶん、自分勝手ですよね。
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そして、この映画が館長に教えてくれた、
大事なことは、
不幸は、
不幸になってから、
考えればいい
ということ。
この幸せが、いつまで続くのだろうか
という、
まだ訪れてもいない未来への
不安、
この幸福、この愛を
手放すことになったら、
どうしたらいいのだろうという
怖れ。
それらにより、結局、
もっとも愛している人を
もっとも不幸にしてしまう
・・・・。
未来への不安って、
とてつもない力
を持つんです。
★
裏を返せば、マチルドはそれだけ、
アントワーヌとの生活が幸せ
だったということ。
途中のエピソードなどを見ていると、
アントワーヌに出会うまでのマチルドは、
なんとなく、薄幸だったという雰囲気。
そのマチルドが、アントワーヌと出会ってからは、
幸福感で神々しいばかり!
まさに女神様のようなマチルドに、
身も心も満たされた女性って、
こんなに輝くんだな、と、
館長も、惚れ惚れ。
でも、満たされ、幸せ過ぎて、
それを失うのが
怖くなったのか・・・。
愛は失われることも
現れることない
のにね。
うーむ。
深い映画だ。。
まだ見ていない人は、
一度見てみてもいいかもしれません。
館長は、男性に精神的に
すっかり頼りきって
身も心もゆだねているマチルドは、
今まで見た映画の中で、
最もセクシーな登場人物の1人だな
と思っています。


3次元的な生き方かもしれないけど、
こういう生き方もありかなって思います。
途中、アントワーヌが踊る場面があって、
少年が目がテンになるんだけど、
館長も目がテンになりましたよ。
めっちゃ、
激しく踊るやん!

って・・・。
(しかも結構、長い・・・)
笑
映画としては、嫌な人が一人も出てこないし、
登場人物たちも魅力的で、
申し分ない作品です。
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今日も読んでくださり、
ありがとうございます。