【3日目後編】ぼくの身体と風邪菌さんの003日戦争 | 梯子ダルマ オフィシャろうブログ

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ぼくの身体と風邪菌さんの003日戦争

最終日後編

トイレ行ってきます大喜利

3月9日17:00
「すみません、トイレ行ってきます」って何回も言うのは恥ずかしいですよね。だから、言えませんでした。

変なプライドを出しちゃう場面ってあると思います。つかなくていい嘘をついちゃったり。本当は自宅から学校まで1時間以上かかるのに「どのくらいかかるの?」と聞かれて「まぁ3、40…50分とか?一時間はかかりません」みたいなこと言っちゃう。「時間かけて登校してるの、大変だね」みたいな同情をされるのが恥ずかしい、というプライドです。

そんな感じで、今日のバイトの最初の方でチャンスはあったのに、風邪で体調が悪いことを打ち明けませんでした。弱っていることを知られたくない、というプライド。

なのでトイレに行くチャンス、それらしい理由を探さなくてはならないんです。「なんでコイツ今日は頻繁にトイレ行くんだ?」なんて思われちゃったならゲームオーバー。

ちなみにウチのバイト先は「大きな母体の中でやってる屋台」みたいな感じなので、トイレは少し離れたところにあるんです。だからそこへ行く理由、店を出る言い訳が必要になる。

腹痛の波に合わせて、その言い訳を使っていかなきゃならない。最初の波は17時。「ちょっとゴミ捨ててきます」のカードを使いました。これはかなり自然です。ゴミ捨て場が少し遠くにあるので、そのついでにトイレに寄って時間がかかっても、それほど不自然ではありません。なんとか用を済ませ、素知らぬ顔で店に戻る。女子2人の顔を見ると、普通に仕事をしています。不審に思われていない。セーフ。さぁ次はなんて言い訳をしよう。

と思ってたら、そこから意外にも割と長い間、腹痛の波が来ませんでした。次に来た波は18時。バイトの終わりが19時半ですから、ここでトイレに行っておけば、この調子ならこの後はもうほぼほぼ大丈夫だろう、と思いました。ので、ここでもう最強のカードを使っちゃいます。それは「ちょっと、トイレ行ってきます」です。実はこれ、1回は普通に使っても大丈夫なんですね。トイレに行くのなんて普通なんですから。1回は全然普通の顔して、オフィシャルにトイレへ行ける。それはもう、時間を気にせずに。帰ってきて、2人の顔を確認。全然大丈夫。普通にトイレに行っただけなんだから。何も不審に思う余地はないです。またまたセーフ。

と、ここで想定外。18時45分に来ました、腹痛の波・第三弾。怒涛の連続リリース。スポンサーのトイレは大喜びでしょうが、僕にとっては大ピンチ。何せカードが何も残ってない。ゴミも捨ててあるし、足りない備品もない。挙げ句の果てには、さっきオフィシャルにトイレに行っちゃったし。店を出る理由が一つもないんです。「どうしようどうしよう。どうしたらいいのどうしたらいいの~!」と、出ました久々の中川パラダイス状態。本当に、まさに、バイトリーダーに助けてほしかった。「ここは僕に任せて、早くトイレへ行くんだ~」つって。

幸運にも、店の奥の出入り口付近を掃除中だった僕はここで踏み切ります。

脱走です。

脱走と言っても「逃げた!」と思われてしまっては意味がないですから「あれ~?そういえば、あれってどうしたっけ~?」みたいな表情で、しれっと店から出ました。「え~?ちょっと待ってよ~?」と、口を尖らせて。自分では自分の顔を見ていないのに、思い出すだけでイライラします。とにかく、強引な手段でトイレへ向かいました。用を足して、トイレから帰ってくると、僕は驚愕します。

僕がやりかけだった掃除が、終わっている。

これが意味することは大きいです。「お、サンキュー」なんて言ってられない。これはつまり、僕が長い間店内にいないということに彼女たちが気付き、且つ、それによる作業の停滞に耐えかねて、且つ、自分の管轄外にも関わらず僕がやるべき掃除を終わらせた、ということです。

風邪であることをカミングアウトしていないことが、ここで効いています。僕は先ほど彼女たちの前でオフィシャルにトイレへ行った訳ですから、彼女たちからすれば、健康な僕がまたトイレに行ったとは考えられません。なのに、居ない。自ずとこう考えたはずです。

「サボったな」

やってしまった。一番やっちゃいけないミスの仕方をしました。ここまで上手くやってきたのに。まだ「トイレ多いな」と思われていた方が全然マシですよ。なにせ「サボりやがって」と思われてしまったわけですから。たまったもんじゃない。僕から真面目を取ったら何が残るでしょうか。眼鏡ぐらいでしょう。トイレから帰って扉を開け、3秒ほどでこの危機的状況を理解しました。

呆然としている僕の視界に映る彼女たちは、何も口には出さないけれど、微妙な表情をしています。

「どうすればいい!どうすればいいのどうすればいいの~!」と3度目の中川パラダイス状態。まぁむしろ今回は開き直って「パ~ラダ~イス!!」って感じでしたが。プッシュプッシュ!!プッシュプッシュ!!気付けばもう、暗い家路を這っていました。はぁ、疲れた。タイムカード、最後ちゃんと押したっけか。

そんなこんなで、最終日終了。センターマイクの鎖を引きちぎり、腕を胸の前でクロスして、「もういいよ」の助走に入っています。そろそろ、きっと閉幕。まぁなんだかんだ言って、ええ漫才やったな。とりあえず、楽屋でゆっくり横になります。


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終わりに

3月14日00:15
まず『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』は観たことありません。言及するのが恥ずかしいくらい、上手くかかってないのだけれど。

前後編に分けたのは想定外です、僕も。一回投稿してみたら、文字数オーバーっぽかったので。ただこれはちょっと嬉しくもありましたが。「お、文字数オーバーなんてするほど書けたのか」と。

ブログを見返してもらえれば分かるように【1日目】を書いたのは3月11日、既にこの風邪との3日間戦争が終わってからブログを書き始めました。この3日が終わってみて、振り返って、頑張って1日の出来事を1回分の記事として書けるかしら、少しの出来事をそれなりの文量まで広げられるかな、と挑戦してみたくなった。『新お笑いラジオの時間』の藤井青銅さんの記事の中に、「何かが起きたことじゃなくて、どうってことないことでトークができるのが一番いいですね」と若林さんが話していた、というエピソードがあります。正直、一般学生の身に起こることなんて、ほとんどが「どうってことないこと」じゃないですか。海外にも行かないし、番組の収録もしないし、有名人にも会わない。だから僕は面白い話をする友達のことをとても尊敬しています。僕が知らない人ばっかりが登場人物なのに聞き入ってしまう、そんな話をする人が魅力的で、理想です。なんでもない毎日を、それなりに書き起こせるような、そんな感性を持って生きていきたいものです。

ちなみに後日談として、風邪に関しては、なんだかんだで完治したのは13日の金曜日です。アンテナをビンビンに張って生活するのは、今の僕では3日間が限界でした。これを見た皆さんも、とりあえず1回、明日にでも、その日の出来事だけでブログ記事を書くつもりで、過ごしてみても面白いかもしれません。3つとも読んでくれた方、お疲れ様でした。風邪など引かぬように。色々大変ですから。ホントに。健康が一番です。