今年、8月に京都大学の田中先生・宮沢先生のご両名による、下記の論文が報告されました。
Unnaturalness in the evolution process of the SARS-CoV-2 variants and the possibility of deliberate 2 natural selection
(SARS-CoV-2変異体の進化過程の不自然さと意図的な自然選択の可能性)
新型コロナの起源に関する話は、このパンデミックが始まって以来、行ったり来たり。
行ったり来たり、というよりも曖昧模糊とした状態で来たようにも思います。
この論文では、遺伝子解析からいわゆるオミクロン株を軸に、その由来を探っています。
その中で象徴的とも言えるかもしれませんが、本論文を理解しやすい1データ。
細かいので、ご興味のあるかたは、元論文にて直接読んで頂きたいのですが、この図2A。
左から二番目の欄「Definition」に縦に細かい名称が、ずらりと並んでいるかともいます。
これらが塩基配列が公開されているオミクロン変異株(variant)の登録名です。
(一番上の第一行はいわゆる武漢株)
全体を見て頂くと分かると思いますが、色付け消してあるセル群の中で
階段状に空白(白抜き)が左上から右下に、規則正しく伸びているのが分かるかと思います。
この部分が、いわゆる元株(武漢株)の配列に戻っている箇所を指します。
簡単に言うと、各株(variant)のひとつずつ、親株の配列に戻っているものがずらりと揃っているわけです。
筑波大学の掛谷先生も、この配列に着目した論文を報告されて、またこの田中・宮澤論文の解説をされています。
分かり易いので、URLを貼付っておきます。
私は応用微生物学の看板を掲げていますが、ウイルスは専門ではありません。
ただ、少なからず関連の分野も勉強させて頂いている中で、このデータはやはり考えさせられます。
本論文の内容について、筆者の言葉の中で
「ピラミッドを見て、これは人工物ではないというようなものだ」
と形容されたと伺いましたが、言い得て妙です。
この論文について、「そこまで言って委員会(読売テレビ)」で紹介され、宮澤先生もご出演されていました。
民放にて良く放送出来たな、と感じましたし、出演者のするどいご指摘も秀逸でした。
2023年ももう後半。
ただ、非常に大きく事が動き始めている年のように感じます。