気が付くと、デスクの周りは暗闇に覆われていて、

スタンドの明かりがPCとデスクをかろうじで映し出していました。

 

今日の午後は論文を書き続けると決めて、

溜まっている実験やその他の案件に蓋をして

データと文章と向き合っていました。

 

ラボの窓から外に目をやると、

すっかり日も落ち始めていて

昼の足跡を少し残しながら、

夜に浸食されているようでした。

 

私は幼い頃から、この雰囲気が好きでした。

そして、そこはかとない切なさも感じていました。

 

Web-meeting終わって、原稿と向き合っていたので

4時間以上、作業していたのですね。

 

気が付けばすっかり日が暮れていた

という経験は勿論、これまで何回もありますが

久々に実感を伴ったこの感情に出会えました。

 

小学校低学年のとき、お昼過ぎに読み始めた「銀河鉄道の夜」。

気付いたらおんなじように周りは夜が浸食しはじめていて

母親の作る夕飯の匂いで、現実に戻ったあの感覚に似ています。

 

 

こんな作業を繰り返しながら、ヒトは時間(トキ)に運ばれていきます。

 

ヒトは何で生きているんだろう

というこれまで、どれくらいのヒトが呟いてきたのか

このフレーズ。

 

 

何となく、暮れていく大学の南側の山々を眺めながら

このセリフ呟いてみた。

 

明日も実験しているだろうし

来週も論文を書いているだろうし

来月は講義を始めているだろうし

1年後も新しい研究テーマを模索しているだろうし

10年後は、どうかな。

もちろん、100年後はこの世にいない

 

山々の後ろに紅の背景が、

夜に包まれてくのを見ていると

妙に納得してしまった。

 

お腹が減った。

 

生きるために食べるのか

食べるために生きるのか