子供の感染症が流行、という報道がなされていますね。
コロナ禍に入るにあたり、私は過度なマスク装着やアルコール消毒には反対でした。
感染症予防云々抜きにて、マスクを習慣的につけ続けると日本人は外せなくなる。
いろいろな微生物に触れる大事な子供時代を、おうち時間と称して外に出させなくなり
徹底的なアルコール消毒していると、どうなるか。
しっぺ返しが来る。
特に私は微生物研究室にいますので、特定のコロナだけと向き合い
多くの微生物を排除しようとする動きに、やはり反対でした。
そもそも人間の体、例えば腸の中にどれくらいの細菌がいるか。
これらをかき集めると、数kgになる。
そのくらい、膨大な細菌たちを我々は腸の中に迎え入れ
共に生きています。
近年では、細菌を対象にしたマイクロバイオーム(microbiome)研究から
ウイルスを対象としたヴィローム(virome)の観点からの研究も進められています。
驚くことに、人間の体には、皮膚や精巣、内臓に至るまでウイルスが存在し、
そしてヒトの免疫応答のオン・オフに関与しているという。
また、このviromeはヒトによって、個人によってことなったものを有している。
これだけ膨大な微生物を体に有している中で、アルコール消毒というのも
何だか滑稽にも見えてきます。
「農地と土壌と私たちのからだに棲む微生物への無差別攻撃の正当性が疑われている(土と内臓より)」
私はラボでは実験上、アルコール消毒します。
これは特定の微生物をクリーンベンチ(無菌室)内で取り扱い、
私の手腕などから、他の細菌が混入することを防ぐため、便宜上手腕を殺菌する。
ただ"生きている"という事はそうではないですよね。
「土から離れては生きられない(天空の城ラピュタより)」
シータはそう叫びました。
生きるとは何か。
コロナ禍でいびつになった生命観、生活感を
もう一度、考えたいですね。