つい先月、Nature Biotechnologyに掲載された本論文。


Title: Unlocking the promise of mRNA therapeutics
(mRNA治療薬の可能性を解き放つ)


タイトルの通り、今後のmRNA薬の開発に向け
その性質や特徴などを、丁寧にレビューされています。

ただ、この論文。
よくよく見てみると凄いことが書かれています。

例えば図3。

mRNAのデリバリーシステムを説明していますが、
LNP(脂質ナノ粒子)に包まれたmRNAは
「Penetration of BBB(blood brain barrier)」
すなわち、BBB(血液脳関門)を透過し
血中を介して循環することが明記されています。

私はこの分野の専門ではありませんが、習ったことはあります。
BBBは血中から、例えば薬物などの移動を制限する機構。
大事な脳を守るため、グルコースやアミノ酸などの
基本エネルギー源は選択的に脳内に移送されるが、
その他のものはフィルターがかかる。

脂質ナノ粒子に包まれたこのmRNAは
このフィルターをかいくぐることを
本論文は示しています。


となると。


COVID-19向けの現行のmRNA薬。
これもLNPですので、この論文に該当することになります。

今年10月に発表された大分大学の研究論文(Kaimori et al. Thrombosis Journal (2022) 20:61 doi.org/10.1186/s12959-022-00418-7)によると、72歳女性がmRNA薬接種後に、翌日亡くなられ、その検視報告がなされています。
ただ、スパイクタンパク質自体は検出されていないようです。


データでは、心臓に出血が見られたことが示されており、されに血栓が発生、一部壊死も見られているようです。他の臓器でも出血が見られており、詳細は当該論文ご参照ください。



当初、この薬剤は
「mRNAは不安定なので、すぐに分解される。体内に残留などせず、短期間で消失する」という話と大きく齟齬が生じます。

なぜ、このような最新の知見が、議論の土台にあがらないか、不思議でなりません。