「SARS-CoV-2 BA.1 Omicron の病原性および抗原性挙動におけるスパイクの役割」
昨日「bioRxiv」にこのような論文が掲載されました。
拝見すると、本論文では非常に多様なバリアント(変異体)を有するオミクロンに関して、
その表現型はスパイクタンパク質に起因するだろうという仮説のもと、次のような実験を実施しています。
SARS-Cov-2の祖先分離株のバックボーンにあるスパイク遺伝子をコードする
キメラ組み換えSARS-CoV2を"人為的に"作出し、現在世界に存在している
"自然"オミクロン株と比較したという実験です。
まず、"自然"のオミクロン。
ワクチン接種してもオミクロン株は伝染性が強いが、
一方でこれまでのバリアントと比較しても重症化しにくい(弱毒化されている)
とされている。
この論文の目的は、この表現型(上述の感染性や疾患の度合い)が
SARS-CoV2のどこに起因しているかを探ることにあるのでしょう。
論文の中身を読む前に
個人的に思うのは、自然オミクロンが弱毒化しているのであれば、
もうそれでいいんじゃないかという想いがよぎります。
さて、
自然のオミクロンを「O]
キメラ組み換えSARS-CoV2を「O-S」
と呼称しましょう。
この研究では、O-Sは受容体結合モチーフ (RBM)の変異により
ワクチンによって誘発される体液性免疫を確実に回避するようです。
一方で、O-SはOと比較して人間の細胞や遠位肺細胞で効率的に複製を行うようです。
要は、O-Sは免疫を回避し、ばんばん人の細胞で増えていく(そして感染する?)
可能生があるということでしょう。
実際に本論文ではマウスを用いた感染試験を実施していますが、
O株はマウスに致死をもたらさないが、14日後O-Sは80%もの致死率を示す結果が得られています。
感染により体重も20%も減少してしまっています。
本論文の末尾では、
・オミクロンのワクチン回避が S の突然変異によって定義されている
・一方、ウイルス病原性の主要な決定要因が スパイク以外にあることを示唆する
と結んでいます。
しかしながら、このような実験は、結果的に
いわゆるウイルスを対象にした機能獲得実験のようなものにも感じます。
大丈夫なのでしょうか。
オミクロンは感染しても重篤化しない。
この論文で"人によって作出された"オミクロン(O-S)
免疫を完全に回避し、感染性も高く、そして相当な致死率を示すわけです。
本当に、このO-S。
ラボから流出しないんでしょうね。
独り言でした。