ブラックホールの撮影に成功した速報が流れました。
宇宙のなんとなくの魅力にやられているワタクシも、こんなニュースは興奮します。
今回の撮影はVLBIという技術を使って、いうなれば、地球規模の特大望遠鏡を作り出したわけですよね。
私は微生物を観察します。
観察の手段は顕微鏡。
かのフックによる顕微鏡開発の歴史は有名ですが、
光学顕微鏡の原理は、観察対象は対物レンズで拡大され、
光の屈折を受けるため、観察像は上下逆転されていることになります。
この時点で、ある種のフィルターがかかっています。
この上下逆転像を拡大するのが接眼レンズ。
一方で、これを見る我々の眼を見てください。
眼球の角膜と水晶体はレンズ替わりで、これに入ってきた像は、光の屈折を受けて、
網膜というスクリーンに、その逆転画像を映し出し、視細胞が脳にその情報を送り出し、”映像”として認識する。
テレビを見てください。
表面に塗られた蛍光塗料が電子線を受けて光り、その規則性で一つの画像を作り出す。
その連続性が、いわゆる動画という観念でもって、我々の水晶体を潜り抜けている。
我々が見ている世界はどれだけのフィルターを通っているのでしょう?
ブラックホールの撮影に成功しました。
中央には深淵なブラックな穴。
その周辺に、吸い込まれようとしている光の群集。
この画像を作り上げる、加工ステップ。
それをみるために、この画像は我々の水晶体を通っている。
我々はブラックホールを本当に見ているのだろうか。