特許出願をし、審査請求の手続きをした後、1~2年もすれば、特許庁から一次審査の結果が通知される。



この一度目の通知で、いきなり特許査定をもらうことが時々ある。


このいきなりの特許査定について、どう考えるか。


特許庁審査官と無駄な議論をしなくてもよく、万々歳だと考えるか、あるいは、もっと広い範囲で(上位概念的に)権利取得できた可能性があり、残念だと考えるか。



私は後者派。



やはり、権利範囲は出来る限り広く取得できればいいし、その広さも、出願時の発明の捉え方と従来技術の設定次第で、何とかできる場合が多い。



この権利範囲の段階的な設定は、一朝一夕にできるものではなく、普段から権利設定の事を考えてる人や、普段から明細書作成に向き合っている人にしかできないかもしれないが…

拒絶理由通知を見た上で、できる限り大きな範囲に減縮補正するのが、やはりしっくりくる。



ここで、特許出願に慣れていない方は、拒絶理由が通知されるとギョッとするかもしれないが、考え方を変えると、適切な範囲の権利を取得できるステップの一つであるので、前向きに捉えるほうがよい。



むしろ、特許庁審査官の発明の捉え方を知るいい機会であり、審査官との対話を楽しんだ方がいい。



何度も拒絶理由対応をしていると、特許庁審査官の大部分は、出願時の発明をどうしたら特許できるのかという、むしろ出願人側の立場でやり取りをしてくれていることに気付かされる。



拒絶理由通知は、審査官が言いたい事を正確に捉えること、そして、拒絶理由が通知されても、諦めないことが重要なのである(喜べとは言わないが…)
昨日から子供達がおじいちゃん、おばあちゃんの家に泊まりに行っており、妻と静かな時間を過ごしている…はずだった…

そう、この静かな時間を妻とどう過ごそうかと、先週からワクワクしていたのだが、一番下の子(2歳)のやんちゃっぷりが止まらずに、終始手を焼く始末…

普段、お兄ちゃんお姉ちゃんに抑圧されているのか(抑圧されてても凄いのだが)、これ程までではなかった気が…


それでも、今、ようやくお昼寝タイムに突入し、私達も束の間の休息。だが、もう娘と息子を迎えに行かないと…


久しぶりの妻とのデートは、お預けとなってしまったけども、それでも息子の寝顔を見れば、まあいっかと思えるし、これでよしとしよう。



iPhoneからの投稿
特許査定率とは、

特許査定率=特許査定件数/(特許件数+拒絶査定件数+一次審査後取下げ・放棄件数)

で表される数値であり、特許事務所の宣伝文句に使用されることが多い。


特許査定率が高いということは、それだけ多くの特許出願を登録に導いているということなので、特許事務所を選択する際の一つの目安にはなるだろうが、この数値を額面通りに受けとることはお勧めできない。


というのも、特許出願の拒絶理由(審査の結果、特許できないとされる理由)の多くは、先行技術が存在しますという新規性・進歩性に関するものであり、出願人は、この拒絶理由を受け取った上で特許の権利範囲(特許請求の範囲)を先行技術に被らないように補正するのだが、この特許請求の範囲を小さい範囲に減縮すれば当然ながら特許査定を受けやすくなる。


誤解を恐れずに言えば、特許査定をもらうこと自体はそれほど難しいことではない。


難しいのは、先行技術を踏まえてできる限り広い権利を取得することであり、実は、特許査定率の高さよりもその瀬戸際で権利取得することのほうがよっぽど重要なのである。


もちろん、特許出願した以上、特許権にならなければ話にならないが、範囲を小さくし過ぎた権利を取得しても何の意味も為さない。


企業相手の場合には、知財部が補正の方針を決めることがほとんどなので、そういった問題も起こりにくいが、全て特許事務所に任せてしまう個人発明家においては、そう言ったトラブルがおこりやすく(実際は、権利侵害の問題が生じてから発覚することが多い)、注意が必要である。


特許権の権利範囲は「特許請求の範囲」によって定められるので、現状の特許請求の範囲がどのように記載されているのか、を把握しておくことが重要である。
個人発明家の方の中には、自分のアイデアが取られることを過剰に気にされる方がいる。

確かに、発明に関するアイデアを他人に盗用されてトラブルに発展するケースも時に見かけるので、アイデアを他人に知られることについては、細心の注意を払うことは絶対的に必要なことである。

ただ、個人発明家の方の中には、私たち弁理士に対しても警戒されている方もいる(明細書の作成の段階ですら内容を話す事に躊躇される方もいる)。

しかし、弁理士には法律上、守秘義務が課されており、あえて秘密保持契約を交わさなくても、職務上知り得た情報を、他人に漏らすことを禁止されているのはもちろんのこと、裁判所において尋問された場合にもそれを拒むことができるのである。

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弁理士法
第三十条
弁理士又は弁理士であった者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

第八十条
第十六条の五第一項、第三十条又は第七十七条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
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民事訴訟法
第百九十七条
次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
一 (省略)
二 医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
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従って、仮に弁理士に特許相談することがある場合には、心を割って相談すれば結構なのである。
日用品分野の発明について、実用新案登録出願を勧める人がいる。

実用新案登録制度は、特許ほどの創作性はない小発明に権利を与えようとする趣旨で創設された制度であり、実際、特許よりも安い費用で権利取得が可能で、且つ、特許権と同じ権利の効力を有するように制度設計がなされている。
(なお、実用新案登録の存続期間は、出願から10年であるのに対し、特許権の存続期間は、出願から20年である点で両者は異なるが、特許権を存続期間ギリギリまで所有する権利者は、医薬等の分野を除いてはほとんどいない。)


費用に着目すると、実用新案登録出願は、特許事務所に依頼した場合の手数料は特許と同じではあるものの、審査請求が不要であるから、結果的に費用が抑えられるのである。


では、実用新案権は使える権利なのであろうか?


結論から言うと、個人的な意見としては、実用新案登録出願をするくらいなら、特許出願をすべきだと考えている。


何らかの権利を所有さえできればいいという特殊な事情があるなら話は別だが(業界によっては稀にある)、実用新案登録は無審査で権利になるという事実は既に周知の事実であって、単に実用新案権を所有しているというだけでは、ライセンスの対象にすらなりにくい。

結局、権利として有効か否かをはっきりさせる必要があり、結果的に特許出願を特許権に成就させた場合と比べて、それほど費用に差はでない。

それに比べて、特許権は、特許庁にお墨付きをもらって成立する権利なので、直ぐにライセンスの対象になる。

発明(実用新案の対象は考案だが)で一儲けしようと思うのなら、やはり特許出願なのである。