権利化だけでなく、権利化後の権利活用を考えたら、たとえ多少費用が嵩んでも、特許出願は特許事務所に依頼するのが断然よい。
これは高額な費用を払うだけの価値はあるということで、まあ至極当然のことである。


しかし、こと日用品の分野に関しては、技術的なハードルが低いので、他の分野(化学や医薬やバイオ、車や家電などの専門分野)に比べると、特許事務所での付加価値はやや小さい。

記載要件の一つとして、それ相応の技術用語や技術常識を駆使して、その業界の知識を有する人が実施できる程度に記載すべきことが課されているのであるが、日用品の分野においては、専門用語でなくても通用し、また、技術常識も一般的に理解できる範囲なので、個人発明家が出願書類を作成しても、記載要件を満たしやすい傾向にある。

もちろん、個人発明家とはいえ、日用品分野でなくても、その分野に長けているはずだが(発明できてしまうくらいなので当然ではある)、文章として、技術を説明するのはまた別の話だ。
技術的なハードルの低い日用品の分野なら、それなりに説明ができる人は割に多い。


私は、とりわけ日用品の分野に関しては、コスト重視の特許出願が可能だと考えている。
特に、個人発明家だからとはいえ割引きできない特許事務所の事情に照らしても、是非とも頑張ってやってみてほしい。
自ら考え出したアイデアについて特許権を得るためには、特許出願をしなければならない。


しかし、ご存知のように、特許出願には高額な費用が掛かる(無論、出願後の諸手続きには追加して費用が掛かる)。
出願費用だけでも、特許事務所に依頼すると、およそ30万円の費用が掛かる。


この費用について高いか安いかは置いといて、このコストをカットするための手段として、特許事務所を経由しないで特許出願する方法がある。
今、インターネット上では「自分でできる特許出願!」なるフレーズが散見される。


確かに、コストを優先するのであれば、アリだと思うし、実際、個人発明家が自ら特許出願書類を作成するケースもままある。

費用については、出願費用30万円の内訳として、
・弁理士の手数料(諸経費込)20万円
・図面代 5~8万円
・印紙代(特許庁に支払う費用)2万円
この位の費用体系が相場だから、自分で特許出願をした場合には、印紙代の2万円程度の費用で、とりあえずの特許出願が出来てしまうのである。


さて、インターネット上に散見される情報を元に、自ら特許出願をした場合の実際はどうなのであろうか。


先に言ったように、出願自体はとりあえずできる。
その後、特許庁の決められた細かな様式を満たしていなければ、補正指令が掛かる(方式審査による補正指令)。
ただ、この時点では補正指令に従って補正すればよく、特許庁も丁寧に教えてくれるので、却下されることは少ない。

個人の出願の場合、すぐに審査請求をすることがほとんどなので(企業の場合は出願日から3年後に審査請求することが多い)、いずれ特許庁から審査結果が返ってくる。

さて、ここまでは順調だと言えるが、ここからが問題。

審査結果では、技術内容などの記載の程度や明確さが不十分な場合、記載に不備があるとして特許出来ないと審査官から通知される。
また、同じ発明が存在する場合、先行技術が存在するとして、特許出来ないと通知される(その他にも要件はあるが、この内容が大部分を占める。この通知を拒絶理由通知という)。

これに対しては、特許出願を補正する事で対応できるのだが、特許出願時点で記載しておいた内容の範囲でしか補正できないという原則がある。

特許事務所が特許出願をする場合は、この拒絶理由を想定して、回避できる種を出願時点で書類に盛り込むのだが、慣れてない個人の方にはこれがなかなか出来ない。

その結果、拒絶理由に対して対応できず、権利化断念せざるを得なくなるのである。

なお、拒絶理由が通知された時点で特許事務所に駆け込む人もいるが、出願時の範囲内でしか補正できない制約により、どうにもならないケースが多い。


これではまるで、ドブにお金を捨てているのと同じである。
しかも、特許出願は、権利になるか否かにかかわらず、全て世の中に公開されるので、独自のアイデアが他人に知られてしまう。


多くの場合、こんな結末を迎える。


これらを考えると、私としては、やはり特許出願は特許事務所に依頼するのがベストと考えている。
しかも、特許事務所は、権利化後の特許料の支払い期限の管理もしてくれるので、その点でも特許事務所をお勧めする。

すなわち、特許事務所は、費用は高いかもしれないが、それ相当の価値はあるのである。



と、ここで話が終わってしまうと、何のためのブログなのかわからなくなるので、次からは、いかにすれば、安い費用で、特許事務所経由の特許出願に近づけられるのだろうかと言う点について、縷々述べてゆく。



今や、知的財産権に関する事務処理を専門に行う部署(知財部と言うことが多い)を持つ企業が多く存在する。

そして、知財部に多くの弁理士が所属するケースもよくよく見かける。おそらく、大企業の大半はそうなのではなかろうか。

そこで疑問に浮かぶのが、なぜ知財部は自ら特許出願をしないのか、という事である。

もちろん、知財部自らが特許出願をするケースもあるが(自社で出願することを内作と言ったりする)、私は経験上、少数派であると感じている。

その理由であるが、知財部の知人、友人に聞いた話などを勘案すると、以下によるものと考えられる。

・知財部に所属する従業員(知財部員と言うことが多く)は、発明者から技術を聞き出して発明を発掘する業務、特許権による戦略の策定、他社との交渉、特許庁対応、契約書の作成やチェックなど、特許事務所には依頼できない仕事を多く課されており、非常に手間が掛かる特許出願の作成に時間を割り当てることは困難である。

・特許出願の作成は、知財部員には馴れない作業である(そればかりをやり続けることはできない)一方、特許事務所は特許出願を主たる業務とするものであり、効率良くできる。

・知財部員の単位時間辺りのコストを考えると、特許出願作成を自分でやるよりも、特許事務所に依頼する方が安くなる。

・企業側と特許事務所側、双方の技術情報の管理がしっかりできるようになり、技術流出のリスクが減った。

他にも事情はあるとは思うが、以上の事情でも十分、特許事務所に依頼する理由になるのではないかと思う。


餅は餅屋にではないけれど、知財戦略を効率良く推し進めるには、うまく特許事務所を使う必要があるのである。


そんな中、個人発明家が軽んじられてしまうのは、仕方のない所があるのかもしれない…(倫理的には否であるのは間違いないのだが、心情的にという意味で)


では、よく見かける「自分で特許出願を…」は、実際にどうなのであろうか。


(※なお、今回の記事の論調の変化は、先日までの馴れ馴れしい口調を不愉快に思われる読者もいるのではないか、と妻からアドバイスをもらった事と、これから記事を書いていく上での自分の書きやすいスタイルを考えたことによるものであり、特に意味はありません。ご容赦下さい…)
特許出願には高額な費用がかかります。
これは先日の記事でも言いました。→先日の記事

実は、これらの費用の大半は特許事務所への手数料です。

ただ、特許事務所が暴利を貪っているのかと言うとそうでもなく、それ相当の技術料なんだと思います。

技術内容を的確に理解して、人に技術内容を伝える文章を書く。
その文章を見て、後発の技術者はさらにその技術を改良する。

その一端を担っているんですよ。特許事務所はね。
専門な知見が必要なので、技術料としての価値も高くなりますね。


それに加え、手間暇を考えても、相当金額かなと。

特許出願を1件書くには、1~3日は掛かります。
しかも図面の作成も必要になってきますので、1品製作で、同じものは原則できあがりません。
大量生産はできないんですよ。


これらを考慮すると、おそらく、どの特許事務所も妥当な金額設定なんだと思います。


さて、著名企業になると、年間で5000件以上の特許出願を出しています。
2013年の公開公報(2011年位の出願ということになります)で見ると、
1位のpanasonicで9000件程度
2位のキャノンで7000件程度
となっています。出願件数ランキング

年間5000件以上も出願する企業が、まさかこの値段で特許出願をしているとは考えられませんね。


そうなんですよ。
多くの企業は、出願件数を沢山にする替わりに料金を減額してくれという契約を特許事務所としています。
なので、コストを抑えられるんですね。


翻って個人発明家について見ると、やはり個人発明家は相当件数の出願を確約できることはほぼないと思います。1人で毎月100件も発明するのは無理でしょうし、金銭的にも困難です。


特許事務所としても、個人発明家の金額を安くしてもメリットがない。
通常の金額に設定して依頼がとれなくても、数件の依頼がとれない程度では全然痛くないんですね。

しかも、企業には知財部が存在しています。
知財部が発明の内容をある程度まとめてくれるので、特許事務所としても、出願書類の作成をやり易いのですが、個人の方の発明は、まとまっていない分、準備に手間暇が掛かることが多いのです。
個人発明家をお断りしてる特許事務所も多く存在するのが実情です。


これらが特許事務所が個人の方の特許出願を安くできない理由です。

特許出願が高額になるのも、安くできないのも、それなりの事情があるんです。

今日はここまで。
では!






先日、個人発明家にとって、特許出願は、まだまだ敷居が高いことを書きました。


実際、次から次へとお金がかかるんですよ。

ざっと列挙しますよ。


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特許出願だけを見ても、特許事務所に依頼すると30万円前後。


その後、特許庁に審査の開始を請求する手続きをし(出願審査請求といいます。これをしないと、特許庁は特許になるかどうかの審査をしてくれません)、これが20万円程度。


その後、審査結果が返ってきますが、その8割程度は、何らかの特許できない理由が通知されますので、それを解消するために、特許事務所に依頼して8万円程度。
下手すれば、数回程度やり取りするので、8万円×回数分


それでも問題点が解消されない場合には、審査を改めて見直す「審判」手続きに入ります。これが、20万~30万円円程度


これで晴れて特許査定がされたら、特許事務所に成功報酬を10万円(これは事務所によって前後します)程度と、登録料を手数料込みで2万円程度。

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これは、敷居が高くなるのもしかたない。。
僕らみたいな一般庶民には、100万円なんて、余程確信をもったことにしか投資できないのは普通ですよ(僕には無理です…)。


けど、アイデアをそのまま企業に持って行くと、特許権取得してから来てくださいとか、門前払いされるケースをよく聞きます。


企業側も、きちんと権利化されてないアイデアを持って来られても、アイデアを盗んだだのと言い掛かり付けられるので、そう応えざるを得ないんですね。
マナーとして、特許権取得をしてから、せめて特許出願をしてから、企業に売り込みに行くのが必要な時代なんです。


そう考えると、特許権で財を築くなんて夢のまた夢…

ですよね。


けど、実は、特許出願から特許権取得まで、上手くやれば、10万円かからないようにできるケースがあるんですよ。


10万円程度で特許権を取得できれば、今までよりも遥かに敷居が低くなりますね。

で、アイデアや売り込みを上手くやれば、個人発明家でもヒット商品を送り込める可能性が大幅に上がります。


できる限り安く、けどいいものを…

順に説明します。
今日はここまで。

では!