労働基準監督署の窓口で時間外労働・休日労働に関する協定届の届出を書き直すように言われたら、応じられることは応じても良いですが、応じられないことを言われたら、まずは行政手続法に従って、指導を文書にすることを求めましょう。
文書にできる場合は、担当者の私的な考えによる指導ではないので、いったん会社に持ち帰り、指導を受け入れるか検討しましょう。
ただ、指導は法律違反ではないので、会社として受け入れないと判断した場合には、指導に従わないとはっきり伝えて受理を求めましょう。
行政手続法Q&A
Q12 行政指導を受けたのですが、必ず従わなければならないのでしょうか?
行政指導は、処分のように、相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を前提としています。したがって、行政指導を受けた者に、その行政指導に必ず従わなければならない義務が生じるものではありません。
また、行政指導は、行政指導を行う行政機関の任務や所掌する事務の範囲内で行われなくてはなりません。(行政手続法第32条第1項)
Q13 行政指導に従わなかったときに、あとで役所から差別されたり嫌がらせを受けたりしないでしょうか?
行政指導の相手方がその指導に従わないからといって、そのことを理由に、例えば今まで平等に提供していた情報をその相手方だけに提供しない、別の許可申請のときに意図的に嫌がらせをするなどの差別的、制裁的な取扱いをすることは禁止されています。(行政手続法 第32条第2項)
Q14 役所から申請を取り下げるようしつこく迫られるのですが。
役所は、自主的に申請を取り下げるよう、また、申請の内容を変更するよう行政指導することもありますが、申請者がその行政指導に従わないことを明らかにしたときは、役所は、これに反して、行政指導を続け、指導に従うまでは審査を保留するなど、行政指導に従わざるを得ないようにさせることによって、申請者の権利の行使を妨げてはならないことになっています。
このような場合、申請者は、この行政指導を拒否して申請書を提出すれば、原則として行政手続法第7条の規定により、役所には審査を開始する義務が生じることになります。(行政手続法第33条)
Q15 役所の担当者から口頭で行政指導がされたのですが、内容を書面にしてもらえないでしょうか?
請求すれば書面が交付されます。
行政指導を行う者は、口頭で行政指導をした場合に、相手方から書面で欲しいと求められたときは、原則として、その行政指導の「趣旨」「内容」「責任者」を書いた書面を渡すことになっています。さらに、改正行政手続法(平成27年4月施行)により、行政指導の際に、許認可等に関する権限を行使可能であることが示された場合に、その権限の根拠条項等に関しても書面で示すように求めることができるようになりました。
ただし、行政上特別の支障がある場合や、その場で完了する行為を求める場合などは対象外です。(行政手続法第35条第2項、第3項)