この話しは架空ではあるが、・・・・

 厚生労働省内では、裁量労働制が長時間労働となるデータを把握していて、労働時間を管理させなければ過労死請求があった際にも過重労働を証明できず企業側の責任が追及できなくなることを理解した上で、法案の作成に着手した。

 そして、法案を通すために、経営側のほんの一部に裁量労働が長時間労働になる資料を示し、法案への理解を求め、労働組合側には、労働時間が増える場合と減る場合があり、労使の力関係でどちらとなるかなんとも言えないという資料を用意して示し、法案を通す働きかけを行った。

 当然、資料を精査すれば問題点が明らかになることは官僚はわかっていたが、与党の議席数を背景に政権側が法案を押し通せると判断して、資料の問題はあいまいで良いだろうと根拠のない自信から、官僚の意見を無視した。

 この結果、資料の再調査を求められたが、公平に再調査をした場合には、当然、裁量労働制は長時間となる結果があるので、再調査などは行えない状況にある。

 

 当たり前だが、給料の支払いが変らない労働時間制度で労働者が早く帰っていたら、追加の仕事を頼むのが経営者として当たり前で合理的な判断であることは言うまでもない。こんな当たり前のことを理解していながら、長時間労働にならないというウソを突き通す人間の人間性は、ウンコ以下だ。

 労働基準監督署、公共職業安定所にもノルマがあることがわかった。

 労働基準監督署では、会社に訪問する回数のノルマがある。まぁ、これぐらいはありそうなものだとは思うが、書類送検する件数のノルマまであった。これは、職員1人当たり1年に1件の書類送検のノルマなのだ。

http://diamond.jp/articles/-/63870?page=2

 つまり、毎年、1人の職員が、1年に1人の国民(法人)を前科付きの人にすることをノルマとしているわけだ。そして、その件数で人事評価が行われ、給料やボーナスの額が変わるのだそうだ。国民を人質に給料を稼ぐ厚生労働省の姿勢はどうなのであろうか?

 警察官のノルマが問題であるように、国民の前科者にすることを評価基準にするのはあまりにもおかしい。

 また、公共職業安定所にも失業者をどれだけ就職させるかのノルマがある。このノルマのため、就職できる人の満足度に関係なく、ただ就職させる数を増やせばいいという行動に走ることになっているようだ。同様に、この件数で人事評価が行われ、給料やボーナスの額が変わるのだそうだ。

 

 このような人事評価が国民のためになるのであろうか。

 時間外労働・休日労働に関する協定届は、労使の合意があれば、協定期間中でも破棄できる。合意がなくても、一方からでも破棄できる条項があれば、労働者側からも使用者側からでも一方の意志のみで協定期間中でも破棄できる。

 これが行われ報道されたのが、岐阜市民病院の例だ。

 協定における時間外労働の時間数が不足していることを指摘され、時間外労働の時間数を増やして協定が行われ、届け出たものである。当然違法性はないので岐阜労働基準監督署は受け付けたものと思われる。このことが行政指導で好ましくないと言われたとしても、違法であることよりはよっぽどマシであるから当然である。

 しかし、岐阜労働局ではこのことを隠したくて仕方ないようで、「個別の案件には答えられない」と事実関係を明らかにしたくないようだ。個別の案件であってもなくても、時間外労働・休日労働に関する協定届を協定期間中に破棄して、再度協定できるということがどうしても知られたくないようだ。

 協定期間中に破棄して再協定すれば、特別条項の回数もリセットされ、届出した期間からの1年間の回数で考えればよくなる。これが知られることを恐れているようだ。しかし、法律に問題があることを隠して、知らない人だけ不利益をこうむり、知っている人だけが利益があるような考え方自体が狂った考え方であろう。法律に問題があっても、法律の周知をするのが役所の態度であろうし、その法律が問題であるならば、政治家が直すべきものである。法律の改正が難しいからといって法律の解釈を隠そうとする姿勢は、行政官として気が狂っているとしか思えないし、職務怠慢以外の何物でもない。

 しかし、クソ田舎の岐阜労働局では、クソ田舎の考えの行政官が多いから、そういう違法な姿勢が染みついているのだろうということだ。

協定の有効期間

 

 「1年間」についての延長時間を定めなければならないため、協定の有効期間は最低1年間となる。ただし、協定の中で定められる3ヶ月以内の期間の延長時間については、別個に1年未満の有効期間を定めることができる。なお三六協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましい(平成11年3月31日基発169号)。

とされているが、例えば、今年の12月に翌年1月からの1年間の協定と翌々年1月からの1年間の協定を同時に届け出れば、事実上、有効期間2年間の協定が締結できる。

 同様に複数年の連続した協定を同時に届け出れば、何年でも長期間の有効期間の協定が可能になる。この期間に法規制は何もない。このため、これを利用すれば、将来、法規制が強化された場合にも、届出時の法規制の労使協定が有効になり、今後強化されると予想される法規制の回避策としても活用できる。

 労働基準監督署の立入調査を拒んでも、強制力を持って立ち入られることはない。

 所詮、事後に刑事罰を科せられるかどうかだけである。30万円以下の罰金なだけである(労働基準法第120条第4号)。しかも、罰金額は上限の30万ということはなく、数万円が普通である。しかもこれが適用される件数は、年間数件にもならない。

 調査される不利益と比較して、この金額をどう考えるかだけだ。

 

 是正勧告書と使用停止等命令書は、指摘事項が法律違反という指摘で、従わなければ司法処分がありうるという指摘ではあるが、実際には司法処分には耐えられない程度の違反も指摘している。

 指導票は法違反ではない行政指導なので、「そんな指導にはしたがう気はさらさらありません。」と回答しても何も問題にはならない。そもそも行政指導に国民は従う義務などない(行政手続法)。

 指導票以外に渡されるたいていの文書は、指導票と同様に行政指導なので、従う義務はない。

 

Q12 行政指導を受けたのですが、必ず従わなければならないのでしょうか?
 行政指導は、処分のように、相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を前提としています。したがって、行政指導を受けた者に、その行政指導に必ず従わなければならない義務が生じるものではありません。
  また、行政指導は、行政指導を行う行政機関の任務や所掌する事務の範囲内で行われなくてはなりません。

行政手続法Q&A

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/tetsuzukihou/faq.html#12

 

 おかしなことが始まった。書類送検されていない是正勧告書を出された事業場を、事実上、社会的制裁を目的に企業名を公表しだした。

 書類送検されても無罪になる可能性があるし、法人の個人情報でもあるので、公表するには相当強い公益性が必要であるはずだ。なのに、労働基準監督署の是正勧告だけでも公表しだした。世間の声には合理性もない時もあるのに、世間の声に応えた場当たり的な態度変更だ。

 大した公益性がなければ、労働大臣に国家賠償を請求できる可能性もあるだろう。

長時間労働削減に向けた取組

 労働基準法の条文の表現が行政の思うようになっていないことから、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でこう解釈してほしいと宣言したものだ。通達でさえ そこで示される法令の解釈は司法の判断を拘束しない、とされているので、ガイドラインなど司法の場では通用などしない。裁判になれば、法律の条文だけから裁判官は判断する。

 なので、ガイドラインに書いてあることは、逆に司法の場では確定していない部分があると考えて良い。

 例えば、自己申告制の労働時間管理をしている場合、法律で実態調査が義務付けられていると考えられるはずがない。つまり、実態調査をしてほしいのは行政なのであって、会社にとって実態調査をする法的な義務はない。なので、ガイドラインに書いてあっても、実態調査を行っていない会社に「是正勧告書」で実態調査を行うようには書いてこない。「指導票」という従う義務のない書面で行政指導をしてくるだけである。この行政指導に従う義務はないし、従わないことで不利益を課すことは行政手続法 第32条第2項で行政側に禁止がされている。

 労働基準監督署では、「斉一行政」を掲げているが、都道府県をまたいだ労働基準監督署の対応は大きく違う。都道府県ごとに通達が出されていて、隣の都道府県の通達と調整もないどころか、隣の都道府県の通達がどういう内容かも知らないまま、対応が行われている。

 都道府県を超えると、対応が大きく違うこともある。さらに言えば同じ都道府県でも労働基準監督署によって微妙に違うし、同じ労働基準監督署でも担当者によって微妙に違う。ひどいことに、同じ担当者でも、日によって言うことが違うこともある。

 これのどこが「斉一行政」なのか。

 労働基準監督署の窓口で時間外労働・休日労働に関する協定届の届出を書き直すように言われたら、応じられることは応じても良いですが、応じられないことを言われたら、まずは行政手続法に従って、指導を文書にすることを求めましょう。

 文書にできる場合は、担当者の私的な考えによる指導ではないので、いったん会社に持ち帰り、指導を受け入れるか検討しましょう。

 ただ、指導は法律違反ではないので、会社として受け入れないと判断した場合には、指導に従わないとはっきり伝えて受理を求めましょう。

 

行政手続法Q&A

 

Q12 行政指導を受けたのですが、必ず従わなければならないのでしょうか?
 行政指導は、処分のように、相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を前提としています。したがって、行政指導を受けた者に、その行政指導に必ず従わなければならない義務が生じるものではありません。
 また、行政指導は、行政指導を行う行政機関の任務や所掌する事務の範囲内で行われなくてはなりません。(行政手続法第32条第1項)

Q13 行政指導に従わなかったときに、あとで役所から差別されたり嫌がらせを受けたりしないでしょうか?
 行政指導の相手方がその指導に従わないからといって、そのことを理由に、例えば今まで平等に提供していた情報をその相手方だけに提供しない、別の許可申請のときに意図的に嫌がらせをするなどの差別的、制裁的な取扱いをすることは禁止されています。(行政手続法 第32条第2項)


Q14 役所から申請を取り下げるようしつこく迫られるのですが。
 役所は、自主的に申請を取り下げるよう、また、申請の内容を変更するよう行政指導することもありますが、申請者がその行政指導に従わないことを明らかにしたときは、役所は、これに反して、行政指導を続け、指導に従うまでは審査を保留するなど、行政指導に従わざるを得ないようにさせることによって、申請者の権利の行使を妨げてはならないことになっています。
  このような場合、申請者は、この行政指導を拒否して申請書を提出すれば、原則として行政手続法第7条の規定により、役所には審査を開始する義務が生じることになります。(行政手続法第33条)

 

Q15 役所の担当者から口頭で行政指導がされたのですが、内容を書面にしてもらえないでしょうか?
 請求すれば書面が交付されます。
 行政指導を行う者は、口頭で行政指導をした場合に、相手方から書面で欲しいと求められたときは、原則として、その行政指導の「趣旨」「内容」「責任者」を書いた書面を渡すことになっています。さらに、改正行政手続法(平成27年4月施行)により、行政指導の際に、許認可等に関する権限を行使可能であることが示された場合に、その権限の根拠条項等に関しても書面で示すように求めることができるようになりました。
 ただし、行政上特別の支障がある場合や、その場で完了する行為を求める場合などは対象外です。(行政手続法第35条第2項、第3項)

 労働基準監督署の窓口では、いろいろ口頭指導が行われるが、いったいどれだけ口頭指導に根拠があるのだろうか。もし、文書で出すように言ったら、ほとんどが文書で出せないような内容ではないだろうか。理不尽なことを言われたと思ったら、行政手続法に従って、文書で交付するよう要求するべきでしょう。文書を求めたら、ほとんどの場合、指導を止めなければならないようなことになると思われる。

 

行政手続法Q&A

 

Q15 役所の担当者から口頭で行政指導がされたのですが、内容を書面にしてもらえないでしょうか?
 請求すれば書面が交付されます。
 行政指導を行う者は、口頭で行政指導をした場合に、相手方から書面で欲しいと求められたときは、原則として、その行政指導の「趣旨」「内容」「責任者」を書いた書面を渡すことになっています。さらに、改正行政手続法(平成27年4月施行)により、行政指導の際に、許認可等に関する権限を行使可能であることが示された場合に、その権限の根拠条項等に関しても書面で示すように求めることができるようになりました。
 ただし、行政上特別の支障がある場合や、その場で完了する行為を求める場合などは対象外です。(行政手続法第35条第2項、第3項)

 

行政手続法