円高差益は還元されていないのか | ラヴログ

円高差益は還元されていないのか


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
国際経済という分野は、「一般の人々の常識」と「エコノミストの常識」が大きく食い違っている。そこで本書では、日本経済の現状を踏まえながら、エコノミストの常識に照らして、一般に流布している常識を再点検する。本書は「日本経済論」でもあり「国際経済論」でもある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 国際経済をめぐる理解と誤解/第1章 円レートの変動メカニズム/第2章 円レートの変動が日本経済に及ぼす影響/第3章 内外価格差・高コスト構造問題をどう考えるか/第4章 日本経済の空洞化をどう考えるか/第5章 金融の空洞化と規制緩和/第6章 欧州の通貨問題から為替レートを考える/第7章 経常収支黒字はどんな意味を持っているのか/第8章 経常収支黒字はなぜ問題か



円高差益の還元に興味のある方は多いと思います。
この本のP83に、なぜ還元がなされないかがあります。

よくある日本の複雑な流通過程で円高のメリットが吸収されるというのは、誤りだそうです。
WTOまでもが、同様の指摘をしているといいます。(九十五年四月)

また、そういう批判をする人は資源価格高騰(本では石油危機とありますが)には、日本の複雑な流通経路がコスト上昇を吸収してくれたので、末端価格の値上がりが小さくなるといわなければならない。

ですが、
P84


 念のために断っておくと。私は「円高差益が流通段階で吸収されていない」とか、「円高差益を還元させるために規制緩和が必要だという議論に反対だ」といっているわけではない。「消費者物価よりも卸売物価のほうが安定度合いが高いことが、円高差益が末端まで還元されていないことの証拠にならない」といっているだけである。


ここで注意したいことは、実際には価格は下がるより上がるものだというバイアスがかかっていると思われていることです。
ですが、家電製品やパソコンなど実際に値下がりは起きています。要はどちらかだけを見るだけでなく、視点をたくさん持ったほうがより多くのことがみえるということでしょうか。

(ここでその理由を説明してしまうのは作者の著作を購入する誘因を妨げると思われますので書いていませんが、詳しくはこの本をお読みください。)