反対するしかないじゃない。
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を読んでみました。
出典が政府資料に偏っているので参考程度ですが、それでも反対派の主張は過去から一貫して同質で、反グローバリズムということが分かります。
P78参照
当時(2003~4年?)の経済産業省の「グローバリゼーションに対する主な批判」という資料によれば
・貿易自由化は雇用の損失を招く
貿易投資の自由化によって労働費用の低い途上国に先進国の健全な雇用が奪われる。
・商業主義的な大規模農業経営は零細農民を滅ぼす
・国際的ハーモナイゼーションは食品安全基準の低位平準化を招く
食品安全基準は各国の主権のもとで決められるべきであり、国際的なハーモナイゼーションは各国主権を侵害する。
・国内環境保護政策を貿易障壁として協定違反にするWTOは問題
・WTOに透明性が不十分
WTOは大国主導で途上国などの利益が反映されず、不透明。
またWTOの紛争処理過程においては、直接的な利害関係にある市民の参加が認めらておらず、不透明。
・貿易投資自由化は国内所得格差を拡大させる
・貿易自由化は自国文化を失わせる
少し書き出しただけでも、TPPの反対派の主張とまったくといっていいほど同じです。
なので、反対派はTPP以外にも協定があるという主張もしますが、今後も自由貿易の協定に上記の問題が常に絡むということは反対し続けていくしかありません。
TPPの憂鬱 ―― 誤解と反感と不信を超えて 若田部昌澄
上記リンク先に、「グローバリゼーションに対する主な批判」に対する誤解の回答がほぼ揃います。
TPPは、参加国全員を拘束するルールをつくらなければならない。アメリカは強力に自国の利益を追求する交渉を進めるが、他の国も強力に交渉をしてくる。そこにはベトナムのような手ごわい国もある。オーストラリアやニュージーランドのように交渉に手なれた国もある。各種国内規制は今回のTPPでも維持されるし、民主党政権のアメリカが国内の労働規制や環境規制を開発途上国並みに引き下げることができるわけがない。アメリカがいろいろと注文を出してきたとしても、アメリカの思い通りになりにくい仕組みがまさに今回のTPPだ。
過去の経緯、日本側が半導体協定の反省から、後に不利な輸入制限が残らない輸出自主規制を貫いたこと、スーパー301条がアメリカ国内からも反対が出たりしたことなどを見てもアメリカの思い通りになっていない。
ちなみに、これはアメリカの政策担当者がこれまでも、あるいはこれからも「理不尽なこと」、「ヘンなこと」をいわないことを意味しない。まず交渉を有利に進めるためにさまざまな牽制球を投げてくるであろう。しかし、そもそも日本の政策担当者ですら「理不尽なこと」「ヘンなこと」を言わない保証がない。オバマ大統領がアメリカの輸出を増やそうというときに、彼は先にあげたゼロサム的、重商主義的、戦略的通商政策的世界観に染まっているのかもしれない(オバマ大統領の経済観に問題があることは、今回の経済危機をめぐる過程で明らかにされた。以下のブログ記事を参照のこと。http://www.washingtonpost.com/blogs/ezra-klein/post/could-this-time-have-been-different/2011/08/25/gIQAiJo0VL_blog.html)。それでも、TPPから日本は利益を得る可能性がある。
いちいち牽制球をまともに受けて、ほら見たことかといろいろなところで引用する記事もありますが、説得力に欠けているのはこれまでの引用からも明らかです。
透明性については、赤旗の
TPP交渉に「守秘合意」発効後4年間、内容公開せず
がありますが、ミスリードかもという記事もあります。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65781757.html
最終内容は公開、交渉過程は非公開かもしれないとのこと。
それでもその過程が非公開はおかしいという声もあるでしょう。
ですが、TPPに参加表明をしなくてもその内容が公表されてしまうと、その過程を見て他国が参加を決めることが出来てしまいます。
更にこれまでの歴史を踏まえても、貿易問題はかなりのデリケートさで反対派の感情や政治的な問題に触れ、その扇動的な行動(これまでの自由化問題を振り返れば、混乱は反対派が起こしているのは歴然としていますし、今回のTPPもそうですよね。)によって、なかなか交渉が進まないということにもなります。