誤解?
本来ならば、こうして比較優位で余剰してしまった人員を別の比較優位産業へと転職させることで国家生産力そのものを向上させるのが比較優位の前提だったと思いましたが……
「雑記ですが。」http://umama01.blog47.fc2.com/blog-entry-858.html
誤解です。
生産量≧消費量が、特化後に生産量<消費量
です。
特化することで生産量が増えます。
増えた分を輸出します。
そして、比較劣位だった国内製品より安価なモノを輸入することで、消費者効用が増すというものです。
よく考えてみてください。
安いということは、特化前よりその製品を多く買うか、余剰分を他の消費に回せるということです。(それまで買えなかったモノが買える)
これこそが貿易のメリットです。
現在、食料品にかかっている関税はものすごく広範囲に及んでおり、それらが一気に解放されるとなると……
「面白い論文を見つけました。」http://umama01.blog47.fc2.com/blog-entry-859.html
亜細亜大学・アジア研究所の石川幸一教授。関税が撤廃されると農家はそんなに困る?
「精米(778%)、バター(360%)、砂糖(328%)、小麦(252%)など国内市場保護のために高い税率が設定されている産品への影響は大きいでしょう。ただし、それ以外の食品の関税はそこまで高くありません。EPA締結国からの輸入品を除いて、食用野菜なら5~10%。鮮魚はほとんどが5~10%です。食肉では、鶏肉が20%以下、牛肉は38.5%。輸入牛肉の国内販売価格を関税面だけで考えた場合、仮に1kgが1385円だったなら、385円安くなる計算になるのでそれなりの影響は出てくるでしょう」(同)http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20101216-00004666-r25WEB R25より
どれも消費税程度の関税です。主婦なら高くても国産買いますよ。(追記;競合する原産国にもよりますが・・・)
しかも、小麦、砂糖、バターが安くなるとお菓子の価格低下も期待できます。(下で説明しているように食料は変動が激しいのですが、ここまでの高関税が撤廃されたら低価格になるのではないでしょうか?ただ、アメリカも自由化の国のイメージですが、一方で規制や補償だらけという矛盾を抱えています。追記;本当に撤廃できるでしょうか?)
ちなみに消費税5パー(追記;2パーセントの増)でも、景気悪化したから影響が大きいという指摘は間違いです。
橋本内閣のときの景気後退は、金利引き締めによるもので財政再建ではなく、消費税率増でもないのです。税率アップでも消費は堅調でした。
この小売価格を見る限り……2002年と2007年はほぼ同じ価格です。
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これは、家計調査見て小売の価格を調べているので、円高はあまり影響しないでしょう。(追記;牛肉は例外的に値下がったということは、海外産が多くなったとも言えます。)
なぜかといえば、スーパーで販売している生鮮品は国産品がほとんどだからです。
しかも生鮮品とエネルギーは価格変動が激しいので消費者物価指数みるときにも除外するのが代表的な指標(コアコアCPI)です。むしろ円高のおかげでエネルギーや食料の高騰が目立たなくなっているという恩恵がありますが、逆にこのことが消費者には実感がない要因の一つだと考えます。

日本のいざなみ景気のときに、雇用されていた方には実感が少なかったもしれませんが、失業中だった方には実感できたでしょう。
失業率が改善されています。
ちなみに日本の労働者人口は約6500万人。
いざなみ期には失業率4パーセントで現在より1パーセントの改善でした。
僅か1パーセントというなかれ。(追記;日本の場合、上下幅が少ないので)
65万人の雇用を生んでいたということです。
失業者数でみれば25パーセントの改善なのです。
これに付随して広宮さんの「米国動乱:雇用なき経済成長。実質GDPは史上最高を更新しているのに…」の
アメリカでは実質GDPが増に転じても、失業率がなかなか低下しない状況になっているそうです。
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について。
以前、バランスシート不況を理由に企業が負債を返済してリスクを取れないと書いてあります。(当然雇用だって増やせないでしょう)
アメリカはバブルがはじけ、まさにかつての日本の状態ではないでしょうか。
日本はそれでもバランスシートを改善してきたからこそ、今回は回復も早かったのだと予想します。
その裏には従業員の所得が増えない要因があるかもしれません。なにせ売り上げの7割から8割が給与ですからデフレ下ではそこは増やせないのも理解できます。
さらに失業率がラグもなしに一気に改善するでしょうか。(僅かに改善してはいます)
アメリカの失業率の推移を見れば、その上下幅が大きいのが分かります。
成長率をみれば、どれだけのダメージだったのかも
日本が元々の失業率が上下幅が少ないのに対して、アメリカは回復にはラグがあるということも長期推移から見て取れます。
それなのに、2010年だけをみて
アメリカの問題は、経済成長できるかどうかではもはや全くない!
とか、断言したり
「 経済成長しても雇用が回復しないアメリカ。TPPも、新自由主義も、もういらない!」
このような断定的な指摘をする広宮さんに、悪意というか恣意的なものを感じます。(政治的背景もあるからですかね?大阪市議は落選してたのですね、知りませんでした。)
本当にもう、さらば~という感じです。
労働人口100万人の国があるとします。その国は50万人が農業で、40万人が工業で暮らしていました。
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政府試算と10年単位で同様にして、産業調整は4年をみました。

このようになります。
当然ですがそうなるように作ったので、umama01さんの指摘どおりになっています。
菅原先生のブログコメントより
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-645.html#comment683
しかし、上記リンク先からも分かるように農家のほとんどが兼業や、高齢者です。

すでに一次産業は有業者数の数%、二次産業も20%台です。
umama01さんの試算のケースは、むしろ戦後の高度経済成長時に似ています。
こちらも適当に5%の成長が続くとして試算してみます。

こうなりました。
生産性アップでも、外国人労働者が増えても十分吸収できます。調整の間、劣位産業には所得保障などで対応もできます。
現代の日本ではGDP増があまり期待が出来ず、その効用も僅かでしょう。デフレの脱却が必要。
ですから雇用もそれほど影響を受けないと考えます。(外国人労働者は増加中です。日本人が大企業やホワイトカラーの仕事を希望して、ブルーカラーや中小企業への就職を嫌がるからです。給与が安くて、キツい仕事はイヤということです。更に障壁がなくなったとしても、外国人労働者には移動と言語の障壁が残ります。)
この結果から分かるのは、やはり経済成長は必要(失業対策)だということです。
TPPは、アジアや新興国の成長を日本に取り込むと同時に、新興国の更なる発展に日本も力になろうということなのです。(飛躍的な結論ですが)