格差の原因を考える

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4660.html社会実情データ図録さまより
TPPによる投資の自由化(これ以外にTPPに伴う不安要素)が、アメリカの格差社会(TPPの不安点が多くの国民生活向上にならない)を日本へもたらす。
なので、たとえ経済成長したとしてもTPPには反対する。
という結論にたどり着いたようです。
前回のエントリでGDP増は格差拡大とは関係なく、むしろ縮小に寄与すると書きました。
では日本の格差は、よく言われる小泉元首相時代の構造改革にあったのでしょうか。
上のデータから長期的には格差は上昇傾向で、むしろ構造改革(規制緩和を含む自由化や民営化)があったはずの2000年代前半にその相関は不明ながら改善している。
では、アメリカ型になることで格差は広がるといいますが、アメリカの格差の原因はなんでしょうか。
アメリカの原因
ポール・クルーグマンによれば、「研究者の間では、(中略)技術革新ではなくて、結局アメリカ政治が右にシフトしたことで、平等を促進してきた規制や制度が損なわれ、そのことが不平等と格差を拡大するうえで決定的な役割を果たしてきたと理解されるようになった。」
ウィキより
ということが指摘されています。
また、よく格差の槍玉にあがるグローバリゼーション(TPPの反対に反グローバリゼーションがあり、これは保守的な思想に多いと考えます)はどうかといえば・・・
グローバリゼーション
世界中を対象に雇用のアウトソーシングが行われるため、アメリカ国内の賃金水準が「世界の安い額」に引き下げられる傾向がある。ただし前述(※筆者注:このエントリ一番下に掲載します)のように、グローバリゼーションの影響は実際には小さい。
ウィキより
野口旭氏の「グローバル経済を学ぶ」P035より
「日本が貿易自由化や資本自由化などの対外開放政策を開始したのは、1960年代のことです。」
「(日本では)輸入自由化、資本取引自由化、金融自由化の順で自由化が進められた。
60年代の初めから半ばにかけて、輸入自由化が本格的に進められた。
60年代半ばから70年代末までの時期に、為替・資本取引規制の自由化が進められた。
70年代末から90年代にかけて金融自由化が進められた。」※()は筆者追記
資本取引自由化のsequencing ―日本の経験と中国への示唆―
http://www.jbic.go.jp/ja/investment/research/report/archive/pdf/21_03.pdfより
その結果・・・
「日本は基本的にアメリカのような産業構造、金融大国」
野田政権の増税方針は「悪手」 経済学者・飯田泰之http://news.nicovideo.jp/watch/nw150901/2
すでに投資は自由化済みです。
日本も同様に産業構造や自由化などで、アメリカ型になっているのです。
とすると、格差を拡大する要因はアメリカ国民の政治思想や、その結果の政策にあると考えられます。
また韓国の事例も取り上げてみると...
韓国の原因
・全羅南道などに教育の地域格差が存在する。
・男女間における教育格差、賃金格差が依然として存在する。
・特に学歴による格差が大きく、大卒者の賃金は高卒者の1.5倍程度となっている。
ウィキより
これもGDPの増加や、グローバリゼーションといった経済的なものとは関係が無いようです。
円高の現状では国内消費以上に輸入量が増えて、国内の雇用はますます悪くなるんじゃないか?ってのが今疑問に考えているところですが。「違う違う。」より
これについては、国内消費以上に輸入してという前提がちょっと考えにくいです。(消費できないのに輸入するのは何故?)
消費できないを生産として、輸入で国内の競合産業が供給過剰になって衰退するということでしょうか。(縮小、倒産による失業増)
ですが、輸入増=輸出増です。
これについては、こちらのブログで詳しく書いてあります
そもそも、輸出・輸入は、小さな企業の「輸出(生産):輸入(消費)」の積み重ねです。
1 企業が輸出(財・サービスをその企業の外に売る)するのには、輸入(財サービスを、他の企業から買ってくる)しなければなりません。
そうすると、反論が来ます。「いや、企業が生産性をアップさせて生産量を増やせば、輸入(消費)を増やさずに輸出(生産)をアップすることが可能だ、だから輸出(生産)増=輸入(消費)増にはならない!」って。
2企業が財・サービスの輸出(生産)を増やすには、輸入(消費)してくれる相手企業、消費者がいないと、成り立ちません。在庫積んで、「ほら生産増だ!」っていうバカな企業はありません。「買ってくれる(消費してくれる=輸入してくれる)」企業、消費者がいないと、一方的に生産性上げても、どうしようもありません。
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-entry-644.html
ですから、競合産業(衰退産業)の縮小や倒産で失業はあるかもしれません。
ですが日本で輸入が増える状況は、海外では日本への輸出を増やすために産業構造の変化が起きて、その分輸入が増えているはずです。
海外の輸入が増えるということは、その分がめぐりめぐって日本の輸出を増やします。
輸出を増やすということはその生産のため、輸入も増えますし、雇用も増やすということになります。
※前述
格差の発生の背景・原因
大元には、「何を格差ととらえるか」という国民の意識の変化がある。そして、意識の変化には社会の変化が影響を与えている。
また、実態を適切に把握せずに、イメージ論で語る状況もあるという。
IMFは格差の主因として「技術革新」と「金融のグローバル化」を指摘している。
一方で、よくいわれる「(貿易自由化といった)経済のグローバル化」については、「格差拡大と有意ではない」として疑問視している
ウィキより