グローバリズムの誤解2
誤解3日本が貿易で欧米から支配される
野口旭氏の「グローバル経済を学ぶ」P035より
さて、その後日本の企業は壊滅して、日本は欧米に支配されたでしょうか?
誤解4輸出増で輸入減
P86
たしかに国際分業の調整過程においてはそのような事態が起きます。
だからといって、輸出だけ伸ばして輸入を減らすということは不可能です。
つまり、アメリカの陰謀論はこの時点で不可能ということがわかります。
オバマの輸出増大という言葉の裏側には、意図せず?輸入も増大ということが含まれているのです。(仮に高関税などを維持でそれを阻止したとしたら、それはアメリカ国民の負担ということで不利益であり、自動車の輸出規制のときのように外国企業に利することにもなるのです。)
輸出を拡大するには、輸入を拡大しなくてはならないのです。
これまでその逆の政策が実施されてきたのが世界の流れでした。
ですが、その失敗を踏まえての自由化・対外開放政策への転換だったのです。
かつて、ジャパンバッシングが高まったときに起きたのは、アメリカ国内の経済学者からの反対でした。
アメリカの経済学者は、日本への数値規制などの要求がアメリカ経済に寄与しないことを理解していたのです。
連名で当時の大統領クリントンへ対日通商政策を批判する公開書簡を発表しました。
しかしながら、影響力が少なかったためでしょうか?アメリカ国内では日本への輸出規制や高関税は支持されていたそうです。
経済学者がいかに正論を説いても、「日本が悪い」と扇動されてきたアメリカ世論を説得することは難しかったのです。
今の日本の状況に似ています。
ですが、アメリカにも当然非があります。
かつての対日通商政策は、アメリカの強みである金融分野(保険や証券など)で日本(その他の国々も)に自由化を要求していました。
その一方では自国の弱い分野には保護貿易を行う。
こんなことをしていたら自由化の要求も、都合のいいだけのものになってしまうでしょう。
このことが念頭にあるため、「アメリカの陰謀」が説得力を増し、扇動されやすい状況を作り出しているのでしょう。
P227
今回の問題が最初から好悪の感情のみでの反対とは思ってはいませんが、すでに破綻論と同様な「破綻するといったら破綻するの」的なものになっていると考えます。
野口旭氏の「グローバル経済を学ぶ」P035より
日本が貿易自由化や資本自由化などの対外開放政策を開始したのは、1960年代のことです。
中略
それに対して日本国内では、日本経済は欧米に比べて未だはるかに遅れた段階にあるので、対外自由化は時期尚早というのが一般的な認識でした。
つまり、急速な自由化を行えば、「強大な」欧米資本が日本経済をまたたくまに支配してしまうのではないかという懸念が極めて強かったのです。当然ながら、政財界を中心として、対外自由化への強い反対論が沸きあがりました。
さて、その後日本の企業は壊滅して、日本は欧米に支配されたでしょうか?
誤解4輸出増で輸入減
P86
おそらく、多くの人々が「輸出は善で輸入が悪」という国際競争主義の思考をなかなか払拭できないのは、「輸出産業は輸出によって所得を稼いでいるので、輸出をすればするほど自国の所得は増大するが、輸入の増大は自国の産業に損害を与えるから、輸入をすればするほど自国の所得は減少する」といったように考えるからでしょう。
これはまさに、重商主義時代の貿易差額主義の考え方そのものです。
たしかに国際分業の調整過程においてはそのような事態が起きます。
だからといって、輸出だけ伸ばして輸入を減らすということは不可能です。
つまり、アメリカの陰謀論はこの時点で不可能ということがわかります。
オバマの輸出増大という言葉の裏側には、意図せず?輸入も増大ということが含まれているのです。(仮に高関税などを維持でそれを阻止したとしたら、それはアメリカ国民の負担ということで不利益であり、自動車の輸出規制のときのように外国企業に利することにもなるのです。)
輸出を拡大するには、輸入を拡大しなくてはならないのです。
これまでその逆の政策が実施されてきたのが世界の流れでした。
ですが、その失敗を踏まえての自由化・対外開放政策への転換だったのです。
かつて、ジャパンバッシングが高まったときに起きたのは、アメリカ国内の経済学者からの反対でした。
アメリカの経済学者は、日本への数値規制などの要求がアメリカ経済に寄与しないことを理解していたのです。
連名で当時の大統領クリントンへ対日通商政策を批判する公開書簡を発表しました。
しかしながら、影響力が少なかったためでしょうか?アメリカ国内では日本への輸出規制や高関税は支持されていたそうです。
経済学者がいかに正論を説いても、「日本が悪い」と扇動されてきたアメリカ世論を説得することは難しかったのです。
今の日本の状況に似ています。
ですが、アメリカにも当然非があります。
かつての対日通商政策は、アメリカの強みである金融分野(保険や証券など)で日本(その他の国々も)に自由化を要求していました。
その一方では自国の弱い分野には保護貿易を行う。
こんなことをしていたら自由化の要求も、都合のいいだけのものになってしまうでしょう。
このことが念頭にあるため、「アメリカの陰謀」が説得力を増し、扇動されやすい状況を作り出しているのでしょう。
P227
まえがきで指摘した「ジャパンマネー」や「ハゲタカ・ファンド」に関するメディア論調が象徴するように、グローバルな経済問題に関しては、人々はしばしば論理よりも感情に基づいてその是非を判断してしまいがちだからです。
その根底には明らかに、自らとは異なる存在に対する払拭しがたい違和感があります。
中略
いずれにせよ、経済問題についての対応が、そのような好悪の感情のみに左右されて行われるような社会は、決して健全な社会とは言えないでしょう。
今回の問題が最初から好悪の感情のみでの反対とは思ってはいませんが、すでに破綻論と同様な「破綻するといったら破綻するの」的なものになっていると考えます。