ソーヤ効果を考える | ラヴログ

ソーヤ効果を考える

この本の中で最も有名なエピソードの一つは、トムが自分に課せられた退屈で面倒くさい塀のペンキ塗りの雑用を、いかにして自分の友人達に進んでやりたいと思わせるか手練手管を尽くすくだりである。(中学校英語の教科書で、教材として採用されている)


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%86%92%E9%99%BA
wikiより


トムは

ペンキ塗りは時間もかかり遊ぶ時間が無くなるのでサボりたい。
最初は友人を、モノで釣るなどして手伝ってもらう。

そこで、トムは考える。

まずは、この退屈で面倒なペンキ塗りを、楽しそうにやる。
友人たちに、自分たちがいかに楽しそうなことしてるか、という認識を持たせる。

そして、誘いに乗ってきた友人たちに、さらに進んでやらせるにはどうしたら?

スグにやらせず、断ることで価値のある作業と思わせる。
友人たちは、俄然それをしたくなり、代価を払ってまで作業をしたくなる。


こうしてトムは、面倒なペンキ作業を終え、報酬まで手に入れ、友人には感謝?(僕の推測です)され、おばさんからもほめられることになる。


これを悪知恵と呼ぶこともできますが、トムが何も言わなければみんなが満足する、いい結果を残せています。




行動経済学の本を読んだら、ソーヤ効果のことが載っていたので引用したいと思います。

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引用は、自分の所有する、現在は売り切れているこちらかからです。
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P52

マーク・トウェインがかつてトム・ソーヤについて書いた言葉を借りれば、”トムは人間の行動の偉大なる発見をした。人に何かを欲しがらせるには、それを簡単には手にはいらないようにすればいい”



すでにホビー系でこの手法をやっています。

アニメなどでタイアップして劇中でホビーをプレイさせる。(子供に面白いこと、と認識させる)
初回ロットを絞る、もしくは限定品(これは僕の憶測ですが、これによりプレミアム感を演出)
そう考えると、オークションでも、最近の限定生産とかこういう手法があふれているような気もします。


P71より

マイナスをプラスに変える

わたしたちの観点からすると、トムはマイナスの事態をプラスの事態に一変させたと言える。
報酬を求められそうな状況を一変させ、人々(トムの友だち)が遊びに参加しようと逆にお金を払う状況にした。



著者はここで実験を試みた。

学生たちに、自分の朗読にお金をいくら払うかオークションをした。
半分には、10ドルに払う意思があるかをたずね、残ったグループには10ドルこちらが支払えば聴くかどうかをたずねた。

この質問がアンカーの役目を果たす。

アンカリング(英: Anchoring)とは、認知バイアスの一種であり、判断する際に特定の特徴や情報の断片をあまりにも重視する傾向を意味する。

ウィキより

果たして、同じ朗読なのに、最初のグループは参加にお金を支払う気になっていて、残りのグループはお金をもらう気になっていた。

P74

わたしにお金を払うべきか、あるいは自分が受けとるべきかという第一印象がいったん形成されると、さいは投げられアンカーが定まる。



第一印象や、アンカーにより、状況は一変する。(最初の決断はかくも重要だ)
仮に最初の決断に疑問を持つことができれば、(難しいがそれができれば)自分の生活も変化するかもしれない。)

このことは仕事についてもいえます。


P74

もちろんマーク・トウェインは同じ結論に達していた。”トムがもしこの本の作者のように偉大な賢い哲学者だったら、仕事というのは人がやらなければならないことであり、遊びというのは人がやらなくてもいいことであると理解したことだろう。
<中略>
イギリスには、夏になると四頭立ての客馬車で毎日30キロも40キロも移動する金持ちがいる。
ひどくお金がかかって、金持ちにしかできないことだからだ。
もしこれに賃金を払うと言われたら、金持ちの特権だったものが仕事に変わってしまい、だれもこんなことをしなくなるだろう”。


遊びとは、お金を払ってまでしたいことなのかもしれません。

逆に意識しだいで、仕事が遊びにもなり得る。




また、増税や値上げにもいえるそうです。
消費税の増税は、橋本内閣のときの不況の原因とされる説がありますが、実際には金融引き締めにその責があることが最近では通例のようです。
また携帯電話など、知らないうちにパケホーダイなどのオプション料金を受け入れ、スマホなどはパケホーダイに未加入だった層にも新たに定額料金の上乗せを受け入れさせることでしょう。

つまり新しい価格(値上げ)は最初こそ需要を減らすが、最終的には消費量に変化はないなど。(新しいアンカーに慣れてしまい、むしろ消費量を増やすことも)

あなたもわたしも便利な生活になれてはいませんか?(払い過ぎていませんか?)





オマケ
P81

市場の力と自由市場がいつも市場をうまく調節できるわけではないという前提を受けいれるなら、政府(願わくば分別のある思慮深い政府)がもっと大きな役割を果たして、たとえ自由企業体制を制限することになっても市場活動を部分的に調節すべきだと考える人たちの仲間入りをすることになるかもしれない。
たしかに人間がほんとうに合理的なら、需用と供給にもとづいた摩擦のない自由市場は理想だ。とはいえ、わたしたちは合理的ではなく非合理なのだから、政策もこの重要な要素を考慮すべきではないだろうか。



例えば、減税は一見得するように思えて、一番得をするのは税金を多く収める富裕層です。
ですから、本当は累進課税の強化など増税するのが富裕層以外の層には良い。

ですが、増税は損と考えてしまい反対してしまう。

人は得をするより損失を嫌うので、現状維持や目先の利得の大小を見ずに選択してしまいがちなのだそうです。

これをどう説得するかも調整という政治の役目なのかもしれません。