自由貿易についての前提など
自由貿易の原則とその修正
ただし、自由に貿易をしていれば、それで万全かというと、そうではありません。
自由貿易の結果、外国から安いモノが大量に流入してきて、国内の生産者が他の分野に転換するのが間に合わず、倒産して倒産して失業者が大勢出ると不利益になります。
この前提がないと、自由貿易ならすべていいと主張していると思われてしまいます。
(1)ガット-WTOは一部の国を優遇したり、他を差別待遇したりしないよう、基本的には「自由無差別貿易」を原則とします。
その具体的手段が「最恵国待遇」(MFN:Most Favored Nation)条項を持つということです。
最恵国待遇とは次のようなことです。
いまA,B,C3国があるとして、A国がB国に有利な貿易条件を与えていたとします。
このとき、A国とC国の通商条約にMFN条項があると、C国も自動的にその有利な条件の適用を受けるという意味です。
中略
第一の「自由無差別」原則にはすでにふれたように発展途上国のための例外があります。
【送料無料】私たちの国際経済新版 |
P28より
途上国が、保護貿易で成長しているという反論も、それらの国が自由貿易のただ乗りをしているからと指摘できます。
かならずしも明らかにされてはいないという注釈つきで
貿易自由化に積極的に推進する開発途上国と先進国との間では所得格差は縮小の方向に向かってきたことが報告されている。
このような事実は、貿易自由化が開発途上国の経済成長を阻害する原因や所得格差を拡大する原因とする見方を支持しない。
【送料無料】国際経済学第2版 |
P225より
自由貿易の議論において・・・
次善理論、セカンドベストとして、自由貿易乖離は擁護されますが、裏を返せば市場が正しく機能していなけれ
ば政府が介入しないことは最善ではなくなる。ですが、
4、市場の失敗はたぶん頻繁に起こるのであろうが、国内市場の失敗にもとづく議論はそれほど安易に適用すべきではない。
第一の理由として、これは貿易政策ではなく国内政策の議論である。
国内市場の失敗は常にその根源で対処するのが最善であり、関税は次に次善で、劣った政策である。
さらに、市場の失敗は分析するのが難しく、適切な政策を提言するのは容易ではない。
国際経済 理論と政策第3版 Ⅰ国際貿易P.Pクルグマン/M.オブズフェルド共著P329より