得したのはどっち? | ラヴログ

得したのはどっち?

2国間での自由貿易により、日本のある製品の輸出が増加することになったとします。
このときに、相手国の競合企業と、そこで働く労働者は損失を被ることになります。

そこで、一部の企業や労働者を保護するために、輸入品にある種の数量的な制限をしたとします。
これは、過去に日本車が、アメリカへの輸出を自主規制をしたときとの状況と同じです。

結果、

アメリカ市場で日本車とアメリカ車の価格は大幅に上昇した。


(引用 伊藤元重氏「ゼミナール国際経済入門」P360より)

要は、アメリカの自動車市場は(日本でも)寡占的なので、アメリカ車が値上げをしても、日本から自主規制以上の輸出は増えないからです。(輸出規制のカルテル効果)
日本車が相対的に安くなっても、数量に限りがあるため売れるいうことがないということです。

ということは、日本車を欲しくても買えない人が出てきます。
そうなると、日本車も需用の方が大きくなるので、価格を上げるでしょう。

これらは消費者には、非常に不利益ではないでしょうか。

結局、自主規制はアメリカの企業に利益をもたらしましたが、反対したであろう日本の企業にも利益をもたらしました。
そしてここで重要なのは、一番損失を被ったのが誰かということです。

それは、誰であろう高い自動車を買うことになった、アメリカの消費者なのです。
日本が得た利益も、アメリカの消費者が負担したものだったのです。

このように、日本全体での利益を考えないと、消費者には不利益ということもあるのです。
つまり、企業や失業の損失より、消費者への利益が大きければ、日本全体でみた場合には望ましいことになります。