そこが知りたい
それは否定できません。
だけど、今の僕が知りたいのは、それではないのです。
これも価値観というのなら、そのとおりです。
マクロ経済は学者は、全体として経済の働きを説明しようとする科学者である。
中略
マクロ経済学は、経済世界をあるがままに説明するとともに、それがどうなり得るかを考察するように求められている。
マンキューマクロ経済学Ⅰ入門編より
経済学は社会科学である、そこでは、選択にかんする社会問題を科学的視点から研究する、
一般的にはどの政策も多くの結果をもたらし、部分的には有益であっても、部分的には有害であることがある。
二つの政策を比較して、一方がある人たちにより多くの利益を与え、他方が他の人たちに利益を与えたとすると、二つの政策のうちの一方が優れているということにはならない。
中略
意見の不一致の原因は価値観の相違にある。
スティグリッツ入門経済2版より
さて、いろいろとあれこれ考えていたら1週間が過ぎてしまった。
・円高と円安
・デフレ
・円高と人件費
忘れないうちにまとめておきたいと思います。
非正規雇用の給与は物品費であることは有名である。
ふざけた話しである。
労働に対する真っ当な対価を会計上の処理とは言え、物品費などとは全く言語道断である。
これはどういう意味があるのだろう?
株主対策なのである。極めて姑息な・・・。
人件費が多いと株主は配当が少ないと文句を言う。
しかし、労働組合に守られた正規雇用の職員の給与を下げることはできない。
そこで正規雇用の人数を減らし、非正規雇用とし物品費として計上すれば労働分配率は見かけ上、上がらないのである。
株主への一定の理解のためだろう。
日本企業はこういう状態が続いているのである。
というエントリがありました。
グレッグのブログ、「物品費??」より
http://ameblo.jp/yuta0328t/entry-10933936625.html
株主の視点は知りませんでした。
ですが、売り上げが欲しいということは同じ結論です。
損益分岐点 = 固定費 ÷ (1-(変動費÷売上高))
ただ、固定費削減は、当然それだけが目的ではないでしょう。
企業としては、損益分岐点を下げて、不況という売り上げ減でも利益を出す体質になりたいというのはもちろんです。
ですけれども、自分の勤める会社ですとリーマンショックで激減した売り上げにキャッシュフローも難しく?具体的な再建計画書みたいなものの提出が、今後の融資を続行する条件になっていました。
その再建計画の結果、役員と役員報酬のカット、課長以上の役付き手当てのカット、50代後半の方のリストラ・・・(派遣社員の方は、数名しか残らず)
つまり、銀行側の意向というのも、かなりの割合であるのではと考えます。
飛躍しすぎではありますが、投資の減少には銀行の厳しい監査もあるのでは?とも。
あとこれだけ資金繰りに苦労すると、新たな借金をしてまで投資しようとは、なかなかなりませんよね。
やはりインフレ期待が欲しいです。
また他のエントリでは
円安になればコストの最大項目である人件費は低下する。
企業の利潤最大化条件は限界収益=限界費用になるまで生産を増やすことであるから、雇用は伸長し、設備投資は旺盛になるはずだ。
上記が小泉時代に見られた輸出主導の景気回復だろう。
しかし、円安で恩恵を受けるのは輸出企業だけではない。
円安で輸入物価は上がるはずである。
輸入競合企業の国内企業は、何もしなくても価格を高く設定できる。
輸入品のダンピングが消失する。
やはり価格が高くなれば生産量を増やした方が利潤は最大になるので雇用や設備投資を膨らませた方が得なのである。
円安は短期的だけではなく、長期的にも好影響である。
円安で日本人の人件費が相対的に安くなれば、企業はわざわざ、海外移転する必要はなくなる。
グレッグのブログ、「円安が好景気をもたらす」より
http://ameblo.jp/yuta0328t/entry-10937990796.html
上記の損益分岐点で、いろいろなパターンを計算してみたのですが・・・

間違い、勘違いには突っ込みを。
売り上げ1億に占める固定費のほとんどが人件費と考えて8千万円、変動費を2千万円を損益分岐点とします。
固定費のほとんどを人件費が占めるので、変動費の減少より人件費削減のほうが経営状態はよくなりそうです。
右列の計算は円安を想定したものですが、人件費をカットしたほうが体質改善に効いているのが現れていると(人件費の下降傾向)、読めないこともありません。
これが実感なき景気回復に繋がっていたのでは?
ところで、グレッグさんのエントリで人件費が安いというのは、円安で相対的に海外と比較しての・・・というものです。
つまり輸出産業の恩恵です。
また円高では、相対的に人件費高騰になり国内製造業は海外移転をするというものです。
ですが、製造業に占める就業者数は全体の約30パーセント弱です。
輸出がGDPに占める割合は約14パーセントです。
残りの就業者や企業には、変動費の減少ということにはならないのでしょうか?
ここも、最終的には売り上げ増ならほとんどの問題が解決できるので、欲しいのは売り上げということになるのですが。
円安で輸入物価は上がるはずである。
輸入競合企業の国内企業は、何もしなくても価格を高く設定できる。
現在は円高ですが、輸入物価は上昇していませんか?
小麦などの穀物や原油など。
円安はむしろそれを悪化させるのではないでしょうか?
ただ、デフレが円高の原因で、デフレ脱却の結果の円安ならば、影響も少ないとは思います。
なので、このエントリも
円高でダメージを受けるのは中小零細企業である。
なぜだろうか?
円高でも生産設備の充実した巨大企業は人件費をある程度削っても資本効率がいいので耐えられる。
しかし、中小零細企業は生産設備が脆弱であるがゆえに、どうしても労働集約的になる傾向があるからだ。
つまり、円高による人件費の高騰はもろに中小零細企業を直撃するのである。
僕は何も国内を過度なインフレにしてまで円安誘導しろ、と主張しているわけではない。
世界各国が2-4%のインフレに照準を合わせて金融政策をコントロールしてるのだから、せめて日本もその水準にしないと必然的に円高傾向が続き、日本のモノづくりが棄損されると主張しているだけである。
グレッグのブログ、「円安は資本効率を改善する」より
http://ameblo.jp/yuta0328t/entry-10938919758.html
上で書きましたが、日本はモノづくりの国ではありません。
サービスが主な産業です。
ではありますが、グレッグさんのエントリが円安にしよう、輸出産業を保護しようというものではないとは理解しました。
ただ、説明不足か僕の読解力がないためか、それらの単語についつい反応してしまいます。
孫引きですが・・・
『経済成長って何で必要なんだろう?』光文社2009
P240
少なからぬ経済学者・経済評論家が「世の中はこうあるべきだ」という主張をしますが、こういう価値論の部分は、経済学の専門的な論理から出てくることはほとんどありません。
経済学は「科学:事実論」で、べき論は「哲学:価値論」です。前者は○×で論争できます。「因果関係・相関関係」だからです。が、後者には正解はありません。
「教育」「教育論争」が学問足り得ないのは、100人いれば、100通りの教育論があり、正解がないからです。
「べき論:価値論」を持ち出されると、議論はそこでストップします。「なになにが好き・嫌い」「なになにが美しい・醜い」「善いことだからすべき:悪いことだからやめるべき」には、正解がないのです。
P254
そんなに田舎が住みよかったら、誰も東京へ来ないですよ。
田舎は人口減、年寄りばかりなのは、なぜでしょうか?
高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門、「飯田泰之 シンプルだけど、簡単な話」より
http://abc60w.blog16.fc2.com/blog-category-19.html