格差はどこに? | ラヴログ

格差はどこに?

日本の格差を貧困率とジニ係数で考えてみます。



相対的貧困率ですが、貧困率と言いながらそれを示す数値では無く、経済格差を表す指標です。
国全体の所得が多い国の貧困率と、国全体の所得の低い貧困率の層とでは、その貧困率の意味も変わってきます。

等価可処分所得の意味についても知る必要があります。

等価可処分所得
OECDによる定義:世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値
wikiより

可処分所得
家計の収入から、税金や年金などの社会保険料といった非消費支出を差し引いた残額。実際に財やサービスの購入(消費活動)に使用できる額。

wikiより

√2≒1.41421356
√3≒1.7320508075
√5≒2.2360679

可処分所得を世帯員数ではなく、平方根で割るところがポイントです。

何故平方根でかというと、同居の場合一人当たりの可処分所得は増加すると考えられるので(一人当たりの家賃などが少なくなるなど)単純に人数で割って可処分所得としないためでしょう。

ジニ係数という指標も同じように等価可処分所得を扱うので、注意が必要です。



■ジニ係数について

0に近いほど格差が無い=0に近いほど良いことである

とは断定できないところでしょう。

それは、このジニ係数の見方からも理解が出来ます

ジニ係数 意味合い
  ~0.1 極めて平等な社会。現実には存在しがたい。
0.1~0.2 ほとんど格差がない社会。個々人の努力を阻害する懸念がある。
0.2~0.3 格差が少なく安定した社会。
0.3~0.4 格差がある社会。競争・活力という面からは好ましいこともある。
0.4~0.5 格差がきつく、社会を不安定にする要素がある。
  0.5~ 不平等な社会。さまざまな問題が生じやすい。



日本がどこを目指すのかにもよってその価値は変わってくるので、一概にこことは言い切れないとはいえ、一般的には0.3前後が競争もありつつ、平等が実現できている状態と考えられているようです。

実際に福祉国家と言われる国の問題点も多々あるようです。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&client=firefox-a&rls=org.mozilla%3Aja%3Aofficial&q=%E7%A6%8F%E7%A5%89%E5%9B%BD%E5%AE%B6+%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&aq=f&aqi=&aql=&oq=





相対的貧困率について


同じ企業で働く、300万円の可処分所得の方が5人いたとします。

1、Aさん。一人暮らしなので、等可処分所得は300万円になります。

2、Bさん。専業主婦の妻と二人暮らしなので、300万円÷1,14≒263万円。よって等可処分所得は263万円になります。

3、Cさん。共稼ぎで子供1人、可処分所得が500万円とします。500万円÷1,73≒289万円。よって等可処分所得は438万円になります。

4、Dさん。専業主婦の妻と、中学生以下の子供2人の4人家族です。300万円÷2≒150万円。よって等可処分所得は150万円になります。

5、Eさん。実家でそれぞれ所得のある家族3人と同居。可処分所得は800万円とします。800万円÷1,73≒462万円。よって等可処分所得は462万円になります。

これを、等可処分所得の多い順番に並べてみます。

Eさん、462万円(3人世帯)
    462 
    462
Cさん、438万円(3人世帯) 
    438
    438
Aさん、300万円(1人世帯)
Bさん、263万円(2人世帯)
    263
Dさん、150万円(4人世帯) 
    150
    150
    150

全世帯で2200万円。可処分所得が、4162万円になっていますね。

このモデルでは、Aさんの150万円が中央値になります。

仮に、世帯で並べたとしても下の数値になり、結果が変わらいことを確認しました。

Aさんの等可処分所得300万円の半分の
1人世帯   150万円

で、世帯数の平方根をかけて
2人世帯   212万円
3人世帯   260万円
4人世帯   300万円

となります。
これは世帯で見た場合に対象になる可処分所得の金額です。

4人世帯で300万円以下で、Dさん世帯が貧困ということになります。

13人中4人が150万以下、つまり相対的貧困率30%です。
もしくは世帯単位でなら20%。


ここで、Cさん世帯に子が産まれ、妻が会社を辞めました。その結果可処分所得が300万円になったとします。300万円÷1.73≒173万円。よって、等可処分所得は173万円になります。
すると、等可処分所得の多い順番が変わります。

Eさん、462万円
    462
    462
Aさん、300万円
Bさん、263万円
    263
Cさん、173万円
    173
    173
    173
Dさん、150万円
    150
    150
    150

2000万円の可処分所得が等価可処分所得3504万円に。


今度は
Cさんの173万円(世帯でならBさんの266万円)が中央値となり、87万円(133万円)以下が貧困世帯になるのですが、


Eさん、462万円(3人世帯)150万円以下が対象(可処分所得の場合)
Cさん、438万円(4人世帯)174万円以下が対象(可処分所得の場合)
Aさん、300万円(1人世帯)87万円以下が対象(可処分所得の場合)
Bさん、263万円(2人世帯)123万円以下が対象(可処分所得の場合)
Dさん、150万円(4人世帯)174万円以下が対象(可処分所得の場合)


すると、Dさんの所得は変わっていないのに、貧困率は0パーセントで貧困(経済格差)が無いことになってしまいます。


問題点は、実際の可処分所得は減っていますが、このように貧困率は0となってしまうこともあり得るという点です。
日本が核家族化していることを考えると、生活は苦しいのに、貧困率改善に貢献しそうです。
逆に、低額年金生活者、もしくは生活保護世帯など低所得者が多くなると貧困率は増加しそうです。(それこそが貧困なのでしょうけれども)

例えば海外の平均可処分所得が低くても(福祉国家の高税率も、これに含まれるのでは?)中央値の半分の金額を上回る世帯しかいなければ、貧困率0%の素晴らしい国家ということにもなります。

日本の中間層から控除廃止などの実質増税で中央値を減らすと貧困率は下がります。

中間層より上の層にはまったく関係も無く。

ある地方新聞に日本の片親世帯の相対的貧困率は、他国に比べて高い。だから母子加算の継続と、生活保護の充実をという社説が載っていました。

これは貧困率の言葉と数字のインパクトだけを利用したものではないでしょうか?

これも代表性バイアスの一つかもしれません。

リストラ
格差社会
派遣切り

こういうことが大きく報道されるので、それがよくあることと考えてしまうのでは。


参考リンク

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51699151.html

池田信夫氏のブログ「バイアスに迎合するマーケティング」より





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