昨年から、丸太の分解を調べるプロジェクトをはじめています。
森に乱立している膨大な量の木の幹たちも、木が枯れればいずれは分解し、土や大気へ還っていきます。分解しなければ、森の中は丸太だらけになってしまい、さぞや歩くのも大変でしょう。今見ている森がその姿に保たれているのは、丸太を分解してくれる生物のおかげといってもいいかもしれません。
しかし、丸太の分解には時間がかかるので、落葉や枝などにくらべてその分解にかかる時間や、分解に関わる生物(丸太を住処や餌資源としている生物)などについて、わかっていないことが多いのが現状です。
丸太は、北大の中川研究林と苫小牧研究林、岩手大学の滝沢演習林、そして宇都宮大学の付属農場にある森林で調査、比較しています。普段は、北海道北部にて笹薮と格闘しながらのフィールドワークばかりですが、これらのサイトは下層植生もまばらで作業も快適です。
計画では10年間モニタリングする予定です。地味で気の長い話ですが、木本植物の優占する森林という生態系でおこっている物質循環の特徴を明らかにする上で、重要な研究になると思っています。
小林