「重力ピエロってどういうこと?」って読み始めました。 

レイプという犯罪により生まれて来た子供、春。
独特な正義感と恵まれた容姿、
天才的な絵の才能を持っているけれど、
性的なものごとを憎悪しています。
そんな微妙な存在の弟を持つ兄と家族の物語。
春や地味な父がとても魅力的です。
ある放火事件を解き明かしながら
兄弟、家族の絆を描き出していきます。
家族って何だろう?という問いは、
最近の事件を見ても考えたくなること。
遺伝子、血のつながりを超えた見返りのない愛情、
というのがテーマなのかな。
親と同じ遺伝子、同じ血が流れているということに
感謝できる人は幸せ。
まあ普段は感謝なんてしないけれど。
犯罪者の血が流れる春の心は……。
家族だと認識して、一緒に暮らしていけば
家族になれるってこと。
それをやり遂げるのは難しいけど
大人しそうな春のお父さんは難なくクリアしていきます。
「2人で遊んでたのか?」と聞くお父さんの気持ちに涙。
そして、競馬場のシーンの母の自信にも涙です。
『オーデュポン~』にもある
世の中にいる絶対的な悪人への作者の憤りを感じて、
すごく辛くなりました。
ほんと、虫けらみたいな人って存在すると思う。
どうやって国の秩序を守っていけばいいのかなぁ。
その都度その都度、判断していければいいのにね。

ところで、解説に語り手である兄が
大好きな新聞のクロスワードを父に先に解かれて
激怒するので兄もフツウじゃない、
というようなことが書かれています。
が、私はフツーだと思います。
子供であれば、家族に一瞬激怒するのはフツウじゃん…。
だから、兄はこの小説の中で一般的な人として描かれていると思う。

例えば、親に死ねなどと言うのはいけないと思うけど
言ったことがあるのはフツウだと思います。
それだけで、その子が親不孝な子だと判断できない。
(もちろん、言わない環境に育つ人もおりますが。)
みんながみんな、そんなすくすくいい子に育つわけではない。
つい悪態づきながらも後で後悔して
心の中で謝罪していたりするってことが
あるってことを知らない人がいるみたいだから
まあちょっとビックリしたことがあったので。
(森進一のおふくろさん問題ですが。)
そんな簡単なことばっかりじゃないでしょーよ、
親子というんは…。

重力ピエロ (新潮文庫)/伊坂 幸太郎

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