東京ヴェルディ公式サイトで、
柱谷監督の解任が正式に発表された。

無念。

闘将・柱谷が、あたしはとても好きだ。
負けたあと悔しさを滲ませて
ちょっと大人げなくなってしまうところも、
なんとも人間臭くて好きだ。

これは単なるきれいごとなのかもしれないし、
サッカーというスポーツにいかに金が絡んでいるかも
それなりにはわかっているつもりだけど、
毎年この時期になると、ひとつやふたつ、
ファンやサポーターの心を一気に冷やすような
運営の姿勢が見えるクラブが出てきてしまって、
なんとも言えない気持ちになる。

去年は千葉だった。
アマルの電撃的な解任発表にはじまったお家騒動のとばっちり。
ああいう皺寄せはすべて監督と選手やスタッフに行く。
開幕前にほとんどの主力がチームを離れて、
刷りたてのカレンダーが即販売中止になったのも記憶に新しい。

あの状態から今季残留を決めたのだから、
現場はどれだけ頑張っただろう。
目標がひとつになったおかげで、
クラブ運営もふたたび順調さを取り戻しただろうか。
巻選手の奮闘ぶりには、他サポながら本当に頭が下がった。

あたしは大分サポだけど、幅広いサッカーファンとして、
日本のサッカー界全体がよくなってゆけばいいと思ってる。

場のレベルアップを図るためには、まず現場。
選手と監督とスタッフ、第一線で闘うひとたちが
持てるパフォーマンスを遺憾なく発揮できることが、
その世界のクオリティを上げるいちばんの近道だと思う。

クラブやフロントは、その環境をつくろうと努力するべきだ。
金儲けの道具としてしか見れないひとたちには
サッカークラブの運営は絶対に無理だし、
そういうひとたちにとっては選手やスタッフもただの駒なんだろう。

理解を示し、互いにリスペクトしあうこと。
一緒に仕事をする、共に闘うとは、そういうことだ。

運営にはもちろん経済的な問題がつきまとう。
だけどそれは、サッカーが好きだという原点に立ち返れば、
なんとか乗り越えてゆく方法が見つかるはずだ。
組織が巨大化すればするほどその方法を見つけるのは難しくなるけれど、
それでも、しがらみをひとつずつ取り外してゆけば
なにかが見えてくるのではないかと、希望をつなぎたい。

今年トリニータの物語が漫画化されたり
いろんなドキュメンタリーで取り上げられたりしたのも、
木村元彦氏や宇都宮徹壱氏があちこちでコラムを書いてくれるのも、
貧乏でもそこに流れる「サッカー愛」が人の心を動かすからで、
サッカーとは、そういうものなのだと思う。
ちょっと口幅ったい言いかただけど、
感動だとか勇気だとか夢だとか、そういったものを与えてくれる。
ファンやサポーターはそれを味わいに集まってくるのだ。
選手や監督はピッチに立ちサポーターの熱を生身で感じながら、
それに応えようと懸命にプレーしてくれる。

フロントがそのことをどのくらい大切に感じてくれるか。
そこにクラブの質の差が出るのだと思う。
クラブの体温を感じられることは、
サポーターにとっては実はとても大切なことなのだ。

別に、ビジネスでもいい。
金がなくては選手に年俸も払えないし、芝の手入れもできない。
だけどせめて、端から見ていて心が冷えるような運営は、
どうかしないでほしいと願ってしまう。
それが苦渋の決断であることが見えれば、
どんな選択にもサポーターの気持ちは冷めたりしない。

今季ヴェルディにどのようなチーム事情があったにせよ、
結果を出せなかったことはまぎれもない事実で、
それは受け止めなくてはならないことだと思う。
監督解任もやむを得ないことだってある。

ただ、リスペクトだけは忘れないで欲しい。
戦力外通告したどの選手やスタッフにも、それは同じ。

闘将はファンに夢を与えてくれるひとだ。
ああいうひとが、人の心を動かすんだと思う。
それは、ピッチに立つほとんどのひとがそうに違いない。
サッカーというビジネスを本当の意味で支えているのは
第一線で闘うひとたちだということを、
この時期にもう一度、自分の心にも言い聞かせておきたい。

そんなの理想論だからと黙っている方がカッコいいけど、
どんなに甘ちゃんだと言われても、
子供っぽいと馬鹿にされても、
ファンやサポーターとしての思いをぶつけたいときがある。

柱谷監督、おつかれさまでした。
あなたの会見を聞くのがとても好きでした。

来季どこかでまた指揮を執るのか、
解説者としてメディアでサッカーに関わるのか。
いずれにせよ、来季も、
闘将らしい闘将の姿を見せてほしいと思ってます。


たくさん、がまんしてきたあなたへ