※注音符號、頑張ってるでしょ!しかし、漢語拼音を先に調べ、子音字、母音字を注音符號に置き換えてるだけ。姑息な手段を使ってます。ㄏㄥˊ ㄔㄨㄣは正しい表記と思いますがㄓㄣˋはよく分かりません。間違っていたら教えて下さい
恆春鎮は台湾行政区における最南端の郷鎮になります。「郷 xiāng ㄒㄧㄤ」と「鎮 zhèn ㄓㄣˋ」の差がイマイチ良く分かりません。両者とも台湾の最下層の行政区画ですが、「鎮」の始まりは、軍事的経済的要地であると共に、戦乱を避けた人々が移り住んだ場所を指し、通常「郷」より栄えている、というので良いのでしょうか??
お昼前に恆春に到着。恆春は、常に春のように温かいことから、このような名前が付いたそうです。この日のお天気、とても良いです。日本の気候で例えるなら「初夏」のように感じます。12月でこの陽気、夏はたいそう暑いのでしょうね。
ここには恆春古城と呼ばれる台湾で最も保存状態の良い城門古蹟があります。国家二級古蹟に指定されています。敵の侵入を防ぐことが建造当初の目的で1875年から5年の歳月をかけて竣工されました。恆春は台湾最後の城郭都市です。
西門
もうお気づきの方もおられるはず。ここは『海角七号 君想う、国境の南』(原題:海角七號)の舞台となった場所です。西門、本来なら「西門」と表記された方向から撮るのでしょうが(映画の冒頭部でも登場した門です)、なぜか反対側の画像しかありません。交通の要に位置している西門、地元住民も他縣からの来訪者も、必ずこの門を通過したしたように私達もここを通って恆春に到着しました。
西門、この画像を見れば『海角七号』のロケ地だと分かるはず。
交通部観光局大鵬湾国家風景区管理処 からお借りした画像(http://www.dbnsa.gov.tw/user/Article.aspx?Lang=3&SNo=03002202)
西門に上がることができます。
城壁の間から見える西門周辺の町並み
穏やかな恆春時間が流れます。
外敵を防ぐ為、銃口を構える壁も作られています。
ガラスケースの中で保存されている城壁。
この朽ちた様子から、かなり昔のものだと推測されます。
城壁を降りると南国を思わせる樹木が至る所にあります。
西門のそばにある恆春鎮石碑公園(猿洞山)
黒くポツポツと小さな穴のある岩で出来た公園。これは、珊瑚礁石だそうです。ここは市街地にある台湾唯一の珊瑚礁公園です。ゴツゴツした珊瑚礁石を登ると、風は一層気持ち良いです。日陰がないので、真夏は半端なく暑いと思います。でも、この暑さも台湾です。同じ場所でも違った季節に来たくなります。
珊瑚礁石のてっぺんには、お猿さんの像。もともとは、お猿さんの住みかだったそうです。
左と真ん中のお猿さんの手がえらいことになっている。
恆春鎮石碑公園(猿洞山)の入り口
西門近くには阿嘉の家が保存されてます。
この中は、映画に関するグッズ等売ってます。流れてる音楽、聴いたことがあるな~と思いきや、映画の挿入歌『無楽不作』でした。この映画、主題歌『国境之南』をはじめ、劇中で使われる『野玫瑰』(シューベルトの歌曲『野ばら』)、『愛你愛到死』(死ぬほど愛してる)、『給女兒』(娘から父へのラブソング)、めちゃくちゃよい曲ばかりです。Youtube で曲名検索するとすぐ出てきます。映画を観てない方も一度お聴きくださいな。
阿嘉の家。緑のポストには、『海角7号』のことなど書いてあるようでした。
旅の話しからちょっと横道にそれます。みなさん、『海角七号 君想う、国境の南』(原題:海角七號) 見ましたか?私は、今回の旅の前に見ました。しかも4~5回も。でも30分くらいでどうしても睡魔に勝てず、挫折の繰り返しでした。仕事も忙しい時期だったので、寝る前に見ることをやめ、休日の昼間にきちんと最後まで見ることにしました。けれど、最後まで見ても、深い印象はなく、なんでこんなに人気がある映画(台湾での興行成績2位)なのか、台湾好きの日本人も皆感動し、鑑賞を薦めるるのか良く分かりませんでした。
今回、Sさんからこの映画が公開される前の台湾映画界がどんなものだったかを教えてもらいました。当時は、ハリウッド映画の輸入や、現実離れした超スペクタルな映画ばかりだったそうです。この映画がヒットした最大の理由、それは、「台湾人の日常が映画になってもいいんだ」ということだそうです。台湾語を話す日々の暮らしでも映画になることを台湾の人々は知ったのです。Sさんの説明を私は、「いろんな思いでアイデンティイを押し殺されていた台湾の人々が、自分の生き方や人生でも主役になれるんだと自信を持てるようになった」と解釈しました。この映画の後、『あの頃、君を追いかけた』(原題:那些年,我們一起追的女孩)が大ヒットしました。香港では、中国語映画の歴代興収ナンバーワンになった作品です。この作品も、ありのままの男子高校生の姿が映画になっています。男性の目線から描いた男子高校生の姿。その姿でいいんだという事が認められた作品だそうです。その女子高校生版が昨年大ヒットした『我的少女時代~ Our Times』 だそうです。平凡な女子高校生のありのままを女性の目線から描いた作品です。「自分たちが自分たちでいい」、このことが、これら3作品の共通点のようです。
この話を聞き、そして、旅を終えた後にもう一度、『海角七号 君想う、国境の南』を見直してみました。明らかに最初に見た時と違う印象があります。ただ、日本人の私としては、映画の中で展開される2組の日本人と台湾人のやり取りに(日本人教師と小島友子さん、阿嘉と友子)、日本と台湾という国そのものの関係がオーバーラップしてしまいます。司馬遼太郎の『台湾紀行』の中で蔡昭昭さん(映画「KANO」で描かれた陳耕元選手の夫人)から2度も「日本はなぜ台湾をお捨てになったのですか」と問われた場面を思い出しました。日本は台湾を捨てたというか泣く泣く手放したと思うのですが(これは、私の個人的思いです。映画の中の台詞そのものだと思い引用しました)、戦後の日本は台湾にとても冷たくかった。台湾が、日本とこういう関係を築きたかったという姿を現代の主人公に重ねて入るような気もします。そのことを日本人にも気付いて欲しいという願いもあったと思います。音楽も素晴らしいですし、恆春鎮を訪れたことで、その空気を感じることもできます。映画の中でずっと吹き続ける風の強さは特に印象深いです。見れば見るほど、印象が変わりそうな作品です。台湾語がたくさん盛り込まれた日常、誰もが抱える挫折、この日常でもいいんだということ…、そして、長き年月の後、友子さんのもとに届けられた手紙。ありのままの暮らしの中にも奇跡や感動はたくさんあります。また見たい作品のひとつになりました。
話しを恆春の旅に戻しましょう。恆春鎮は、ゆっくり歩いても十分廻れます。
南門。恒春鎮のロータリーの中心になってます。
レンガの城壁、反り上がった軒の城楼がとても立派です。現在城郭が残っているのは南門のみで、門自体の保存状態が最も良いのもこの南門です。
とても立派な城楼ですが、上れません。空の色は本当に綺麗。
修復を何度も繰り返したため、本来の面影から離れているそうです。それでも、歴史を感じます。2006年12月26日に恆春地方で発生した地震でも大きな被害を受けたそうです。
さて、お昼ご飯。南門から歩いてご飯の食べれそうなお店を探します。私はSさんについて行くだけなのですが、Sさんは大変だっただろうと思います。そして、麺が食べたいという私のリクエストに、こんなお店を見つけてくれました。
秋香麵店屏東縣恆春鎮中正路48號
地元感漂う雰囲気がとても良いです。
店内にはメニューの掲示がされてます。
台湾の麺の種類はとても多いです。麺の種類、全部説明してもらいました。
私たちのお昼ご飯は…
小菜(おかず)お店の入り口に並べられている具材の中から好きなものを選びます。具材には、豚足、鶏の顔~首の部分(凄かった~)、煮卵、豚の皮、昆布、お豆腐等々沢山の種類があります。今回は、昆布、豚の皮、お豆腐を選び、料理してもらいます。選んだ具材は、食べやすいようにその場でカットされ、火を通してくれます。最後にトロッとした甘いお醤油で味付けされたものがテーブルに運ばれます。昆布は、日本の昆布巻きと同じ味と食感。豚の皮、沖縄でも良く見かけたのですが、食べるのは初めてです。ちゃんと噛めるのか?いつまでも口の中に残るんじゃないのかと心配でしたが、没問題!!弾力があって美味しいです。そう、これはいける。この食感はクセになります。お勧めです。そしてお豆腐。上の画像でお豆腐がどれか分かりますか?白くて周りが茶色いのがそうです。最初はお豆腐と判りませんでした。茶色い四角い塊みたいに見えたのです。高野豆腐でもなくいったい何なんだ??興味津々です。日本のお豆腐のように柔らかくて崩れるのではなく、弾力があります。味そのものは薄いのでトロッとしたお醤油に絡めると美味しいです。生姜やお葱に甘みがありとても美味しいです。生姜が苦手な人でも食べれます。美味しかったです。味付けのベースになってるトロッとしたお醤油、甘みもあり何にでも合いそうです。
Sさんの乾麺(汁なし麺)。
陽春麺、小麦粉で出来たシンプルな麺。大と小があります。小を選びましたが、かなりの量です。麺は「どん兵衛」みたいです。「どん兵衛」好きなので美味しく食べれました。お肉ともやし、名前分からないけど緑の野菜入り。お肉のダシが美味しいスープでした。結構お腹一杯になります~
お腹一杯なのですが、スイーツは外せません。Sさんはちゃんとスイーツも考えてくれてました。台湾にも「甘いものは別腹」って言葉あるのでしょうか??私、「甘いものは別腹」十分あり得ます。
「阿伯綠豆饌」 屏東縣恆春鎮中山路115號
綜合綠豆饌(冰)40元
今日の気温だと、冷たいものが食べたくなります。真ん中の冰、結構固いのでスプーンで潰して食べます。うまく潰れないので、冰を塊で食べたら…、固すぎて食べれない。ほんのり甘い黒砂糖がとても美味しいです。
綜合ということで、綠豆饌(黄色い小粒のもの)、綠豆、粉條(サツマイモで作った白い麺)、Q圓(お団子)が入ってます。トッピングがたくさんですが、冰がとても美味しいので平気で食べれます。甘さも後を引かず、とても爽やかで美味しかったです。
台湾の「冰」は本当に美味しいです。「冰」を作る水そのものが美味しいのです。綠豆饌はこの暑い地方のスイーツだということが良く分かります。暑さの疲れを取ってくれそうです。
緑豆饌のお話し
Sさんが緑豆饌のことを教えてくれました。綠豆饌は、緑豆の殻を取って茹でたもの。殻を取った緑豆の外観が「蒜頭」(ニンニク)に似ていたので「緑豆蒜」と呼ばれていたそうです。ところが、「蒜」(suàn)の文字から「蒜頭」(ニンニク)と勘違いされることが多かったようです。そこで発音がよく似た「饌」 (zhuàn )という文字を使うようになったそうです。
(多分これであってると思うのですが…)
恆春鎮、喧騒のない町です。かといって静寂でもない。城壁に守られた心地よい町でした。そしてここからさらに南へ、彼方南へと一気に向かいます。
続きは次回へ…。