北陸経済連合会と北陸産業活性化センターが、ガソリン車を電気自動車に置き換える(コンバートEV)事業を北陸の新たな産業に育てようと動き出した。
北陸3県の自動車関連メーカーの技術を持ち寄り、コンバートEVの製造に関わる企業を地域に集積させようという試みだ。
このほど北陸産業活性化センターなどが中心となって、試作車を開発。量産体制の整備に向けた地域連携を模索し始めている。
北陸産業活性化センターは、今年2月にメーカーや大学関係者などが参加したキックオフ会議を開催、目標とする性能などの検討に入った。
北陸3県には、光岡自動車やタケオカ自動車工芸のほか、大手自動車に部品を供給する田中精密工業など自動車関連メーカーが多く、「コンバートEVを事業化できる産業基盤がある」(同センターの常山知広氏)というのが、今回の取り組みの背景にある。
キックオフ会議後、同センターでは自治体や企業の利用を想定した試作車作りに着手。
10月にはトヨタの商用車をベースに改造したコンバートEVを公開した。
限られた部品しか手掛けない中小企業から「コンバートEVに参入するといっても、具体的にイメージできない」といった声があったことから、「実際にモノを作ってみせることが不可欠」(常山氏)と考えたためだ。
試作車はエンジン制御用コンピューターを手掛けるアール&スポーツディベロップメント(富山市、山口義則社長)が担当した。
モーターや関連部品の多くは外部から調達して作り上げた。
改造する前のガソリン車が持つエアコンなどの基本性能を失わないことにも留意。トランスミッション(変速機)もそのまま利用した。
商品化されているEVに搭載されている大きな力を生み出すモーターは高価で、「モーターのコストを下げるには変速機が必要」(山口社長)となる。
10月の北陸技術交流テクノフェアではコンバートEVの展示・試乗会を実施。
フェアの参加者に意見を募ったところ、「性能や仕様はどうなっているのかなどの声が多く、関心は高かった」(常山氏)という。
コンバートEVは市場にあるガソリン車を活用できる。また、EVやハイブリッド車への置き換えを待つよりも、二酸化炭素(CO2)削減のスピードを上げられるというメリットもある。試作車は年内に公道を走れるようにする計画だ。
ただ、課題も山積している。試作車はコストの問題から動力性能を落としており、最高速度は時速50キロメートル。リチウムイオンバッテリーも高価だ。コンバートEVの普及には、コストを抑えながら、ガソリン車と遜色なく乗ることができる程度の動作性能が必要だ。
さらに、興味を示す企業が多くいる一方で、積極的に開発に参加を表明する企業が少ないことも大きな課題だ。
電気自動車や燃料電池車などの環境車を題材にした企業向けセミナーは連日盛況で企業の関心は高い。
とはいえ、それぞれの企業はどんな分野で事業化できるのかがまだ見極められず、様子をみているのが実情だ。
「自動車メーカーや関連産業の技術革新が進み、リチウムイオン電池などの価格も下がる」と、北陸産業活性化センターの北伸弥・常務理事は話す。
部材価格の低下によりコンバートEVの採算性が高まった時が、一気に事業化を進めるタイミングだとみており、賛同企業を引き続き募っていく考えだ。