早稲田大と慶応大が今月、15回の授業で単位を取得できる「囲碁」の講座を相次いで設ける。偶然にも「私学の両雄」が足並みをそろえることに、日本棋院は「伝統文化の継承・発展のうえで意義深い」と歓迎している。

 両大の講座はいずれも7月までで、90分授業が15回ある。囲碁の歴史やルールを学び、学生同士で対局。最後は講師のプロ棋士に挑む。日本棋院によると、囲碁の講座はこれまで、東京大教養学部(東京都目黒区)と東邦大理学部(千葉県船橋市)にしかなかった。

 早大は日本棋院と提携し、西早稲田キャンパス(東京都新宿区)で7日、黒滝正憲七段(34)を講師に「囲碁で学ぶ数理科学入門」をスタートさせた。学部を問わず受講できる。担当する早大メディアネットワークセンターは「最近の学生は受験のせいで決まった科目の知識しかない。文系学部の学生にも対局を通し数理科学的思考力を養ってほしい」と狙いを語る。

 慶大も14日、神奈川県藤沢市の湘南藤沢キャンパス(SFC)の環境情報学部と総合政策学部に開講する。人気漫画「ヒカルの碁」の監修で知られる卒業生、梅沢由香里五段(36)を講師に招く。

 梅沢五段の恩師である村井純・環境情報学部長は「囲碁は論理的戦略性が求められ、人の心理も影響するゲーム。文理複合的な学問の融合を目指すSFCの理念に近いと考え、私から講師をお願いした」という。梅沢五段は「国際化が進んだ今こそ、自国の文化への理解を深めてもらいたい」と学生に呼びかける。

 時ならぬ“囲碁講座人気”を、慶大出身で囲碁ファンで知られる推理作家の夏樹静子さんは「今の子は何でもパソコンでちょこちょこ調べるデジタル人間。ゆったり全体の流れをよむアナログ人間も社会には必要で、対局を通して大局観を養える囲碁が一番と大学も気付いたんじゃないかしら」と分析している。【永尾洋史】

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