遺書を作っていた


カラカラになった心


カーテンのない窓から


潮風は吹き付ける


なんの変哲もない人生に


終止符を打とうとしている


最期の場所に選んだのは


母の生まれた小さな島だった


廃墟になった生家


軋む床に横たえたまま


宛のない手紙を書いている


下らない理由で人を殺した


今となってはそう思える


血の付いた外套を


隠した黒いスーツケースは


まだ部屋の隅に転がっている


夢だったらと頬を抓る


そんな勇気もない