ドメスティックな表現だと思う


君の心の中を理解していいのだろうか


理解したつもりで


君に話してもいいのかな


僕の国はそれほどまでに複雑だった


君の国に


君の空に


春は来たのだろうか


どうやら大昔


まだ宇宙ができたばかりの頃は


僕らは一つだったらしい


不可逆なエントロピーの中で


ふたりは遠ざかることしかできないと


知った頃にはもう遅かったんだ


陸に花が咲き


それを桜と呼んだあの日


夜の海に浮かぶ


月に見惚れたあの日


空を飛んだり


手を繋いだり


僕らはいつもそうしていた気がするし


いつも寂しがっていた気もする


言葉も千切れていく


体を引き裂くような痛みは


歳を追うごとに増えていく


ビリビリに破かれてしまうのだ


自分という存在の小ささを


定義する過程で


君という存在の大きさを


痛いほど知ってしまったんだ


当たり前に持っていた自尊心や


負けず嫌いだった自分が


あの時は嫌いだったけど


今は愛おしく思えるんだ


多分僕らは複雑すぎて


君の心も


僕の心も


決めきれないどこか遠くで


決めてほしくないと


ずっとずっと


そう思い続けているんだと


そう思ってるんだけど


そこんとこ


君はどう考えてるのか


今度会えたら聞かせて欲しいな